シネつう!
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劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel]
I.presage flower
2017年制作

満足度:

TYPE-MOONのゲーム「Fate/stay night」から"桜ルート"と呼ばれる展開をアニメ化した劇場版。

「Fate/stay night」のアニメ作品は多くあって、セイバールートのディーン版TVアニメ(2006年)、凛ルートのディーン版劇場映画(2010年)、凛ルートのufotable版TVアニメ(2014年〜2015年)、そして今回の桜ルートのufotable版劇場映画で4回目のアニメ化かな。
どれもスタートは同じところから始まって、途中から物語が変わっていくというところがゲームの「別ルート」という面白さでもあるけど、映画となると何度も同じスタートを繰り返すのは表現としては考えどころでもある。

そういう意味では本作は主人公である衛宮士郎がセイバーを召喚するくだりは何度もアニメ化された共通部分なので、冒頭クレジットの背景でダイジェスト風味に省略したりしてたね。
というかそもそもファン向けの作品でもあるわけだから、物語のベースを知っているのは前提として観客を信じているつくりですな。
番外編(前日譚)の「Fate/Zero」(2011年〜2012年)も当然観てるでしょ?って感じもありありと出てるw
まあターゲット層を考えれば当たり前か。
なので聖杯戦争が何なのか、マスターとサーヴァントとはどういう関係かなどの基本情報の説明はほとんどないわけだけど、前述の通り作り手が観客を信頼している裏返しなので、それもまた嬉しくもある。
おかげで不自然な説明台詞もないし。
その上で、本作の主題となるヒロインの間桐桜に関する部分は時間をかけて描いているあたり、この映画で何を語るべきかが分かっているよなあ、という感じ。

さて、ディーン版の凛ルートである「UNLIMITED BLADE WORKS」も本作と同様に劇場映画だったわけだけど、あれが106分の1本完結で作ったためにどうしてもダイジェスト感が拭えなかった。
それに対し、本作は最初から3部作構成でさらに1作目だけで120分。
丁寧に作ってある感じもしたし、そりゃあ物語の情報量の厚みが違いますわな。
ufotableは「劇場版 空の境界」で見せたクオリティの高い雰囲気と映像を知っていると、この「Fate/stay night」シリーズでも否応なしに期待値が高くなってしまうところだけど、そこはさすがufotableは何を期待されているかも分かった上でそれにしっかりと応えてくれたねえ。

桜の物語を描くことに時間をかけているのは前述の通り。
秋から冬の風景、裏路地の怪しい雰囲気、背景の美しさも相変わらず。
そしてCG背景美術も生かしながらカメラを動かしまくったスピード感あふれる戦闘シーン。
すばらしい。
特にランサーvs真アサシンはたまらない。
ゲイ・ボルク…もうちょっとだったのに!!

こんな感想になるのも、個人的には原作ゲームをやっていないので、この桜ルートである「Heaven's Feel」の展開が初見のせいですな。
なので先の展開は知らないから新鮮にセイバールートや凛ルートとの違いを楽しんでおりますw
第二章も楽しみになるクオリティでした。


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