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古谷実の同名漫画の実写化作品。
冴えない青年とサイコキラーの青年、一人のヒロインを中心に二人の主人公の行動が交錯するサスペンス映画。
原作は未読。
映画の真ん中あたりで出されるタイトルのタイミングが秀逸だった!
そこを境に一気に話のダークサイドが顕在化してくる。
前半は濱田岳が演じる冴えない青年・岡田の恋愛話が中心で、ムロツヨシが演じる挙動不審で面倒な人だけども憎み切れない先輩・安藤との掛け合いが面白い。
ヒロインとの出会いや発展は段取りもテンポ良く進むので、若干コメディチックでもあり、ここだけを見るとただの恋愛ドラマだがw
しかしそんな前半でもちょくちょく出てくるストーカーの森田の存在感よ。
不穏な感じだなあと感じさせての後半からの下り坂は…いやはや参った。
森田剛がアイドルのオーラを消して演じるサイコキラー・森田の「息をするように嘘をつく」感じや、「頭を掻くように人を殺す」感じの演技が絶妙だったと思う。
「こいつはヤバい奴や…」と十分に感じさせる見事な演技だけど、ほんとにどこにでもいるような兄ちゃんがナチュラルにサイコキラーだという日常と地続きの不気味さにはゾクゾクしたな。
作品はそういった前後半の対称性や主人公二人のそれがこの映画のキモだけど、岡田の性行為と森田の殺人を交錯させる場面では否でも応でもそれを観客に意識させるよね。
その森田はなぜそんな人物になったのかは…劇中でなんとなく語られる。
実際にはあまり背景に触れない方が彼の不気味さを増幅させるのでいいのかもしれないけど、あえてそれを知ることで人間の危うさについて考えさせられもした。
もちろん高校の時のイジメが原因で彼が変わってしまったとしても、それで現在の行為を肯定できるわけではないけどね。
しかし森田にもかつて純粋であったころの人間性が心の奥に残っているのではないか、そう感じさせられる白い犬を避けたシーンが良い。
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