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2016年から上演された舞台版「パタリロ!」の映画版。
原作は魔夜峰央の同名ギャグ漫画。
「パタリロ!」の原作漫画はほとんど読んでいなかったものの、子供時分にアニメ版(幾度となく夕方に再放送されていた)を楽しんでいたこともあって面白い作品であることはよく知っている。
それを舞台化するという話を聞いた時には「あのデフォルメの塊を人間が演じるのは無茶だろう」と思ったものだけど、加藤諒が扮したパタリロの舞台写真を見た時には「イメージをよく再現してるなあ…」と感心したのもよくおぼえている。
結局舞台版も観ることはなかったけれど、今度はその舞台版の実写映画化という事で「今度こそ観てみるかー」と一念発起して観てみたところ、いやはやちゃんと「パタリロ!」だった。
舞台となっているマリネラはどこかの外国だしバンコランは英国人だし…といった具合に、登場人物は全員外国人なのだけどもちろん演者は全員日本人。
これで成立するのは観る側に「基が舞台だから」といったフィルターがあるからだろうけど、これが良いように作用しているとは思う。
暗い背景に書割のセットや顔出しパネルで演出が成立しているのは間違いなく舞台劇の延長だからだし、それが故に手近なロケ地や安い合成(バンコランの目からビーム!)がむしろ逆に「舞台ではできない豪華な演出」に見えてしまう認知の逆転現象を起こさせて興味深い。
なので、スター・〇ォーズのパロディ然としたCG劇の方はよっぽど安っぽく感じてしまったし、むしろ話の流れでこれ要るか?とも思ったものの…、まあ好意的に解釈すれば映画版として舞台で出来ない規模感もやりたかったというところだったのかな。
でも個人的には、見た目でわかるCG劇の派手さよりも「ガラスの仮面」のパロディや拳銃発砲シーンなどで見せたカットバックの使い方の様な、技術的に“映像作品”にした意味を感じる見せ方の方が好みではある。
そういう意味では本作では舞台劇をそのまま撮っただけではなくて、そういった見せ方でちゃんと映像作品にしているのが分かるのはいいです。
「パタリロ!」といえばそのナンセンスなギャグが売りだけど、この作品のハッチャケた存在自体がもはやそれだよなあ。
男色要素も「パタリロ!」から外せない要素だけど、キスシーンがやたらと出てくるのは個人的にはもうちょっと控えめでもよかった(苦笑)
クックロビン音頭やシバイタロカ博士、タイムワープもちゃんと出てくるしタマネギ21号の話がさらっと入っているのもいい感じだけど、月影先生を出してくるならデスラーもやってほしかった気はする。
そこは難しかったのだろうか。
ともかく、「パタリロ!」ネタがてんこ盛りだったのは面白かったです。
加藤諒が役にハマりまくってたのが良かった点の一つなのは間違いないね。
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