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今石洋之監督・中島かずき脚本のオリジナルアニメーション映画。
突然現れた新人類バーニッシュにより世界の半分が燃えてから30年。
そんなバーニッシュが起こす火災を鎮火するために結成されたバーニングレスキューは、ある日そのバーニッシュのリーダーを捕らえるが…。
いかにもTRIGGERというか、いかにも今石監督・中島脚本な作品。
「天元突破グレンラガン」が往年のロボットものへのオマージュで、「キルラキル」が学園バトルものへのオマージュな感じだったけど、本作は…なんだ?
何かのオマージュというよりは、SFアクションの皮を被った実験映画というか…、とにかくアクションではCGを使ってとことん空間内でカメラを動かすことにこだわっているように感じたけど、そこにかけるパワーがこれでもかというほど伝わってくる。
エッジの効いた背景美術、この作品のキーである炎などはもはや記号としての塊でしかない形をしているのだけど、そんな世界観の中でこれでもかという勢いで映像の洪水を突き付けてくるアクションシーンはもう…おなかいっぱいですw
とても勢いのある内容だし、敵がいて仲間がいて、そして登場人物はそれぞれの信念で突き進んでいく。
ドラマとしてはその様に実にてんこ盛りだったけど、正直言うとこれだけ叩き込まれると逆に物足りない部分もある。
主人公ガロはバーニングレスキューの新人隊員だけど、隊の仲間とガロの信頼感を見せる以上はもっと積み重ねがあった方が良いと思うし、ガロが憧れる司政官のクレイとの関係ももっと時間をかけて見せた後でひっくり返ればより良かったかもとは思う。
監督も「2時間以内に収めるのが大変だった」と言っている様だけど、この映画を観て思ったのは「なんか1クールアニメの冒頭と終盤をまとめて観た様な感じだな」ってこと。
ダイジェスト感とは違うんだけど色々なドラマがオミットされているというか、「もっと彼らの日常回があればドラマに厚みが出たかも」と考えてしまうんだよね。
特にバーニングレスキューの活躍なんて、もっと何件かの色々なケースがあった上でこの映画のストーリーがあったらなあ、なんて。
まあ無いものねだりですかね?w
本作の声優は中島かずきの劇団☆新感線つながりで松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人がメインキャストに配役されてますな。
クレイ役の堺雅人はキャラにも合っていてよかったなあ、物腰が柔らかそうで実は…って感じが良い。
リオ役の早乙女太一も舞台役者だし上手いよな。
主人公・ガロを演じた松山ケンイチもヘタではないんだけど、ただキャラのイメージとしてはもっと声に圧が欲しかったように思ってしまった。
歌舞伎的な見得を切る口調とか、グレンラガン的な名乗りの場面とか。
キャラデザインのイメージがどうしても「グレンラガン」のカミナと被るので、そういう点で小西克幸と比較してしまう部分はどうしてもあるかなあ。
ダメではないんだけどね。
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