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TVアニメ「響け!ユーフォニアム」の劇場版。
2年生になった黄前久美子たちのいる吹奏楽部に新入生が入部してきた。
“全国大会金賞”を目標に練習を続ける日々と人間関係を描いた青春ドラマ。
シリーズとしてはTV版が2シーズンと劇場版総集編が2本、そしてオリジナル劇場版の前作「リズと青い鳥」と、気がつけば結構なシリーズ展開がされている作品になってきましたね。
「リズと青い鳥」は主人公を代えた単独作といった趣もあるので、TV版の直接的な続編としてはこちらの方がしっくりくるけど、「部活動」という世界の中で相変わらず面倒くさくも青春な人間模様が良く描かれていると思います。
「同級生との関係」「先輩との関係」ときて、本作は「後輩との関係」がテーマ。
クセのある新入生とのやり取りは大変そうだけど、主人公たちがちゃんと“先輩”として成長している姿には、今や高校時代など遠い昔となったおっさんの目にはとてもまぶしく映りましたよw
まあ新入生の久石奏は礼儀正しい上っ面とは裏腹に相当に面倒くさい感じだけど、彼女は彼女なりに中学で経験したことがそういった立ち居振る舞いにさせたことも分かったし、その上で認め合えていくユーフォニアムの3人の関係性はとてもいい。
内容的にはTVの1クールくらいで描いても良いくらいの内容だった気がするけど、劇場版100分の作品になったことで割と展開が早いというか、割と淡泊に進行していく感じの部分もあった気が。
新入生の鈴木美鈴は前半に彼女のモヤモヤを中心にして描かれていたけど、後半ではすこし存在感が薄くなってしまった感じ。
まあ、そもそも登場人物が多いってこともあるけど、トラブル中心に描くことになるとどうしても安定した関係性の部分は見えにくくなるわな。
でも話の中心からはちょっと外れていても、加藤葉月や川島緑輝はやっぱりいい子だなというのはちゃんと描かれているのは嬉しいですよ。
リボン先輩も部長として頑張っていたなあ。
時系列的には「リズと青い鳥」と同時期の話なので、「この映画の裏ではあの二人の話もあったんだよな」と思いながら観ていたところ、コンクールの自由曲で(あたりまえだけど)ちゃんと「リズと青い鳥」が出てきて世界観の広がりを感じた部分もある。
というかTV版1期・2期で積み上げた人間関係の先にこの映画の話があるわけで、観客としてもそういった時間を共有しているからこそ、キャラクターの成長に共感性を持てるわけです。
卒業生がチラッと応援に来てくれた時の嬉しさとかもそうだよね。
大人になって忘れてしまった気がする学生時代の1年ずつの重さとか、その時間の中にあった濃い人間関係とか、そういったものを思い出させてくれるシリーズだなと再確認した次第。
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