鉄道オタクの青年二人の交流を描いたコメディ・ドラマ。

何よりも鉄道が好き、という若者二人。
一応彼らを取り巻く環境で、苦境があったりもするんだけど、そんなものはご都合的展開でどんどんクリアされていく。
要するに描きたいのはそういうディティールのリアルさではなく、そういう特殊な同好のユートピア感とでもいうのだろうか、そういう感じの空気が描きたいのだろう。
その二人でも細かくは電車の楽しみ方が違ったりもするのだけど、"人それぞれだからねー"というゆるい共感の成り立っている世界ですね。

なので、リアルさを求めると変な映画に見える。
登場人物の立ち位置はカメラを意識してるし、セリフにしたって段取りだし。
最初は「なんて不自然なんだ」と思ったのだけど、ワザとやっているということに気が付いて何となく楽しくなった。
ケレンの塊だけでコメディにしようとしているのかー、と。
特に伊武雅刀のジョギング中のコーヒーの場面は…、わざとらしさを通り越してもう"ウソ"の領域。
でもあそこまでやるからこの映画のスタンスが固まったとも思える。

ただ、映画として面白いかというともう一つなところも多い。
コメディ部分は多少流れがあるにしても基本的には場面場面で完結しているし、登場人物はあまり成長もしないし、ただそのユートピアを眺めているだけ。
彼らが鉄道を愛でるように、観客が鉄道オタクの青年二人を愛でることができれば楽しいのだろうけれど。

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