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実在した下級武士の入払帳(家計簿)を元に、当時の生活を描いた同名小説を実写化した時代劇。
御算用者として加賀藩に仕える下級武士の父、その息子が父の姿を回想するという体ではあるものの、人間ドラマとしては少々浅いドラマになってしまった感じがする。
話としては当時の一般武士の生活が描かれ、悪い人物は出てこず、まるでホームドラマのようなストーリーは悪くない。
父と子の愛情を描いている部分もプロットとしては良いと思う。
なのに何故か心に響かないのは、やはりそこに至るドラマの積み重ねが弱いからじゃなかろうか。
もちろん要所要所にポイントとして、祝言であり、息子の誕生であり、身内の死であり、親子の関係でありといったエピソードを置いてはいるんだけど、そこの連続性がどうにも区切りがあるように感じられて微妙に入り込めなかった。
一応伏線を張ってそれぞれに繋がるように整理はされているんだけど、どうもエピソードの羅列感の印象の方が強い。
もう少し一つ一つのエピソードを踏み込んだ形で描いていれば、彼らにもっと感情移入も出来ただろうけど、それを行うにはエピソードの数の割に尺が足りなかった感じがしますね。
…うーん、描かれる人物像がどれも良かっただけに、勿体ない感じです。
この作品の内容であれば、映画よりもテレビでの連続ドラマの方が向いていたかもしれないというのが正直なところ。
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