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TVアニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の劇場版。
セントラルの刑務所から脱獄した謎の錬金術師を追い、エドとアルは西の街・テーブルシティへと向かう。
時系列的には原作11巻と12巻の間にあたるスピンオフ作品。
登場人物の多い原作から、映画に出てくるキャラクターをメイン数人に絞ったのは、好判断。
ミロスとクレタという初めて語られる舞台での展開に集中できたからね。
そういう意味で、"エドとアルが活躍する"以外にはファンサービス的なところは最小限。
(登場するにもかかわらず、マスタング大佐のアクションシーンはほとんどないw)
あくまで"原作の世界観で語る一つのストーリー"としての完結を目指しているのが分かる。
オリジナル舞台の設定は色々多いのに、それでも違和感なく鋼の世界観(命・兄弟・賢者の石・真理・差別・紛争)を描けているし、この辺は脚本を書いた真保裕一のセンスの良いところですね。
ただ、設定を練りに練っているせいか、その説明のために割とセリフで時間を割いているところもあって、その辺はもうちょっと簡潔に見せた方が良かったんではないかと思った。
もちろんミロスの歴史を知っていないと話が進まないし、クライトン兄妹の出自を知らないとドラマは成立しないのだけど…。
アクションパートは素晴らしい。
立体に動き回る空間の使い方やスピード感が抜群で、作画にかなり気合が入っているのが伝わってくる。
エドやアルは体術だけでも十分動きが見せられるキャラだけど、しっかり錬金術を織り込んだ上での立体移動は良いですよ。
終盤で賢者の石同士の力のぶつかり合いになったところは、違う方向に派手さが増していった気もするけど、まあそこは映画的な盛り上がりってことで。
本作はオリジナルストーリーのスピンオフだけど、作り手が原作の魅力をちゃんと理解して作ったのが伝わってくるので、見ていて気持ちの良い作品でした。
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