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NHKで放送された同名金融ドラマの劇場版。
原作は真山仁の小説「レッドゾーン」。
NHKのドラマから4年が経ち、サブプライム問題やリーマン・ショックなど経済情勢が様変わりしたわけだけど、この映画もその時代を反映して原作や当初脚本から結構変更をかけたらしい。
そういう点で鑑賞前には「脚本としての整合性は大丈夫か?」なんて要らぬ心配をしたもんだけど、実際に観ると結構上手く現実の流れを反映しながら話を組んでいるかなと思いました。
まあ、派遣工の話はいささか象徴的に過ぎる気はするけどね。
あとは…TVドラマ版で感じた様な“全編に漲るギラついた感覚”は少々減退していた気もするなあ。
それでも見応えのある駆け引きの世界ではあることは間違いないですが。
映画の主軸は鷲津政彦(大森南朋)と劉一華(玉山鉄二)というファンド・マネージャー2人の、日本そのものと言われた企業“アカマ自動車”をめぐる駆け引き。
TOB合戦やサブプライムを利用した工作などは、なかなか面白い。
それにしても昔の鷲津を彷彿とさせる劉のキャラクターと、それに対抗する鷲津という構図が良いですわ。
劉の最期は少々強引な気もしたけど、金の生む夢と悲劇を追った人間の最期とはそんな感じということなんだろうか。
劉が昔に抱いていたであろう“アカマ”への憧れや、その気持ちを今でも心に抱いていたのだろうという余韻は悪くないね。
だからこそ鷲津にも思うところが色々とあるだろう…。
それにしても、芝野健夫(柴田恭兵)はラストにはとうとう社長にまで上り詰めちゃったねえ。
TV版から、かなり波瀾万丈な経歴を積み重ねてはいたけど、やはり成るべくして人は成るのだw
とはいえ白髪の増えたこのキャラクターを見ると、彼の苦労も分かるというものです。
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