シネつう!
JAPAN STYLE !!

白蛇伝
1958年制作

満足度:

中国の説話を題材にした、東映動画による日本初の長編カラーアニメーション作品。
西湖に住む少年・許仙は買っていた白蛇のことを大人に咎められ、泣く泣く野原に放つ。
時が経ち、その白蛇はかつて自分を大事にしてくれた許仙のもとに1人の美女に姿を変えて現れたが…。

影絵風味の止め絵で始まるプロローグ。 少年時代の話が終わってからが本格的なアニメーションの始まりだけど、日本初のカラーアニメをフルアニメーション(この作品は12コマかな?)でガリガリ動かしているのは、「力が入っているなあ」と素直に感心。
というか日本でリミテッドアニメが主流になっていくのは後年の「鉄腕アトム」からなので、この段階ではディズニー的なフルアニメーションの方が「アニメ映画」としては主流な表現なわけだけど、キャラクターたちは生き生きとよく動かしている作画のクオリティは高いと思う。
嵐の海の作画とかもすんげえよなあ。
特に木の龍が空を飛ぶ場面は胴体の丸太一つ一つの立体感や動きの位置が破綻していないし、こういうちょっとしたところでも作画・動画のクオリティの高さがうかがえる。

キャラデザインはディズニーっぽいシルエットでありつつも中国的・京劇的デザインが取り入れられていて独特な印象。
坊さんの法海は達磨大師って感じの見た目だな。
でもやっぱりどのキャラもよく動くし、この時代にあって動画としてのクオリティが高いのが良いね。
絵画の様な背景の前で演技させている場面なんかも目を引く。
動物キャラたちは擬人化された動きを多々見せるけど、これらのデザインはこの時点から東映動画っぽい空気も感じる。
パンダのキャラなんてどう見ても東映動画の系譜w

ストーリーは古典的な説話なので、まあ「まんが日本昔ばなし」みたいな内容なのだけど、おおよそ三部構成(許仙が追放される話、許仙が命を落とす話、白蛇が許仙のために妖であることを捨てる話)でテンポは悪くない。
そうそう、他に「まんが日本昔ばなし」みたいと感じさせるのは、多数の登場キャラの声を森繁久彌と宮城まり子の2人であてていることだよね。
ナレーションでの状況の語りが多いところは講談チックというか、紙芝居的な語り演出にも近い感じ。
文字通り、絵の動く紙芝居というか。
そういうところは時代を感じる見せ方でもあるけど、説話という内容にはマッチしているのかなと思う。


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