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山崎ナオコーラの同名小説を原作にした恋愛ドラマ。
年上の女講師に翻弄される主人公を松山ケンイチが演じているけど、どこか情けない感じがイマドキの若者っぽい。
逆に女講師を演じる永作博美は、飄々とした雰囲気と主人公“みるめ”に対する力関係が実に小悪魔的で上手い。
このキャラは悪びれないところがイヤらしい女だよなあw
でも個人的にはそんな二人の関係を苦々しく思いながらも、外から眺めるしかない美大の女学生“えんちゃん”が良かったね。
蒼井優の演技が良いというのもあるけど、やはりキャラの立ち位置からすると、観客は不純な恋に溺れる主人公よりも、手の届かなくなった同級生に片想いするえんちゃんの方に共感するように出来ているんじゃないだろうか。
その辺の話のバランスは良かったと思う。
演出は固定カメラで長回しというスタイルがほとんどで、それがまた自然な空気感を伝えてくるから不思議。
この撮り方は井口奈己監督のスタイルらしいんだけど、初めて観た。
長回しもそうだし、パンしないフレームの使い方もなんだか独特の雰囲気が出てが、こだわりがあるんだろうねえ。
その長回しの影響なのかもしれないけど、どの演者もすごいニュートラルな演技をするんだわ。
またそれがキャラの等身大感が際立たせて、この作品の空気感に合ってるんだよね。
感情をこめた演出にすれば生々しくてイヤらしいだけの話になるだろうけど、そこが傍観というか、引いた感じになっていて個人的には良かったと思う点です。
まあ、ストーリーの結末からすれば序盤に想像できる範囲を超えないんだけど、それでも主人公の続きを想像させる「会えなければ終わるなんて、そんなもんじゃないだろう」というラストの文が心に残っています。
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