シネつう!
JAPAN STYLE !!

フラガール
2006年制作

満足度:

炭坑の閉山が進む昭和40年の福島県いわき市を舞台に、解雇されていく抗夫やその家族の姿を通して、町おこしのために計画されたハワイアンセンターが開館されるまでを実話を元にして描いたドラマ。

ずぶの素人達がフラダンスを始め、様々な出来事や努力を経てステージを成功させる。
様々な競技や演技などでこの手の構造の話は作られているので、この映画も例外なくそのジャンルのうちの一本と言える。
そういう意味では裏切る要素の何もないベタな話なんだけど、そこはそれ、良く言えば王道的な良さはあったかなと思う。
その上で、この映画は“炭坑”という日本を支えた産業が古いモノとして消えていく中で、変われる者や変われない者がいるとしても、必死に新しい何かを掴もうと努力した人々の姿を描いていて、それがちゃんと作品の個性にはなっているかな。

ここで描かれる人々の苦悩は、高度経済成長期という日本のる産業転換の過渡期が及ぼした結果の一つだけど、そういう時代の変化の中で、女性が社会で主張していった時代という話でもあるのかなと思う。
松雪泰子が演じるダンス講師の男にも物怖じしない態度はまさにその象徴だと思うけど、その辺が割とギャグに近い描き方をしているのは面白かった。

フラダンスのシーンについては、クライマックスになると完全に舞台中継のそれのようになってしまったのだけど、個人的には割と客観視してしまった。
蒼井優は確かに主演級であるし、ダンスも踊れていると思うけど、ベッタリとソロダンスを見せられるというのは正直言ってピンと来ない。
「一山一家」というキーフレーズを劇中で出しているのだから、蒼井優にフォーカスするにしても、全員で行う踊りの中での一人として描いてくれる方が話が成立するのではないかと思った次第。
まあそれでは盛り上がりに欠けてしまうという判断なのだろうけどね。


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