8
TVアニメ「花咲くいろは」の劇場版。
喜翆荘での忙しい日々を送る主人公・松前緒花は、ふと目に留まった昔の業務日誌を見つける。
上映時間は66分と、劇場アニメとしては短め。
時系列的には、TVシリーズで描かれた全26話の物語の間の話にあたる。
緒花と喜翆荘の物語としてはTVシリーズで語りつくしていると思っていたのだけど、話の軸としては緒花の母・皐月が家を飛び出すあたりの出会いや心情を描いていて、確かにTVでは語っていなかった良い追加エピソードだと思った。
TVシリーズとの関係上、緒花がこの時点であまり皐月の詳細について知ってはいけないのだけど、そのあたりの処理も上手く過去描写として皐月の物語を進行させていたね。
ここでは"誰かの回想ではない"ということが重要か。
ただ前半は完全に皐月の物語なので、緒花の話に戻ってくると少しテンポが止まる。
あまりにも日常回だし。
まあそもそもが日常を描くアニメなのだからそれを否定するわけにもいかないが、なんとなく緒花と皐月の描写は断片化しているイメージに思えた。
が、それがあってこそ、後半が良いと思えるようになったと思う。
親子というテーマがしっかり分かってくると、「輝きたい」という言葉に緒花が漠然とした共感することで、逆に時間に隔てられた話の断片性が親子3代の切れない絆の様なものを感じさせる方に転化したね。
相変わらず朝ドラの様なドラマだけども、この作品はそこに描かれる前向きさが良く、心地いい。
TV版から観ていた者としてはこの先にある別れも知っている訳だが、だからこそ、この一番いい時期の喜翆荘が再び観られることは嬉しい気がする。
もどる(ハ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01