シネつう!
JAPAN STYLE !!

パコと魔法の絵本
2008年制作

満足度:

意地悪で偏屈なジジイ大貫と、一日しか記憶の保たない少女パコとの交流を描いたファンタジー。

原作は舞台演劇の「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」。
その演劇の世界観をそのまま膨らませた上、映画でしかできない演劇的な作品を作った中島哲也の演出は見事。

原色バリバリの画面構成はいつもの中島監督らしい感じ。
そして「リアルだから良いってもんじゃない」と監督の声が聞こえてくるくらい、凝りに凝った舞台装置やキャラ造形、そしてパコ目線でのCG劇中劇への切り替わり。
そのどこをとっても普通ではない虚構さが、この作品の最大の魅力だと思います。
俺はそのフェイクの世界に堂々と入り込んで、笑って泣いて感動してしまいました。

役所広司演じるジジイ大貫は前半とてつもなくイヤな奴で、病院にいる他の人間も変な奴ばかり。
でもニクめない奴ばかりだよね。
演じる役者もみんなテンションが高めで観ている方も引きずられる。
場面場面で繰り出されるギャグも上手く効いていて楽しめました。
大仰な演技自体が演劇的だけど、この世界観ではこれしかない、という感じだね。
特に謎の人物を演じた阿部サダヲはすごい。
彼がこの映画のテンションを全体を握っているに等しいもんなあ、脇役なのにw

映画だけど、面白い演劇を観たという感じもするし、泣けるし笑える。
そういう風に楽しめた作品だからこそ、これは良い映画だと言えるね。


もどる(ハ行)

当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01