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東宝創立30周年で7年ぶりに制作されたゴジラシリーズの第3作。
特技監督・円谷英二が多大な影響を受け、特撮の模範とした映画が1933年の「キング・コング」。
そのキングコングと東宝が生んだ大怪獣ゴジラを戦わせようというのだから、観客が「世紀の怪獣対決だ!」と思う以上に、作り手自身が特別な思いを込めていたに違いない(と思う)。
RKOへ大金をはたいてまで正式に「キングコング」の名称使用料を借り入れたのだから、その気合は本物だろう。
ということでタイトルは敬意を払って、「ゴジラ」よりも前に「キングコング」が来ておりますね。
本作からシリーズはカラー化し、昭和ゴジラのコミカルな感じも多々出てくる。
(ちなみに東宝初のカラー怪獣映画は「空の大怪獣ラドン」。)
主人公役の高島忠夫や、狂言回しの部長・有島一郎など、当時の社長シリーズや若大将シリーズといった東宝喜劇のノリが随分と入っていて、オリジナルの「ゴジラ」にあった重い雰囲気は微塵も残っていない。
これが良いのか悪いのかはともかくとして、昭和ゴジラシリーズの方向性を決めた作品とも言えるだろうか。
実際、軽妙なセリフ回しはちょくちょく面白いですw
怪獣対決では異種格闘技戦の様なお祭り感覚が前面に出ている感じだが、ゴジラやキングコングが単体で闊歩しているシーンはハイスピードで撮っているのに、いざ取っ組み合いになるとやはり通常スピードになるので動きが軽い。
岩も全然重そうでないでやんの。
でもこれがこの時期の特撮の味かなあ、なんて思いながら観てますがね。
キングコングが生息する髑髏島ならぬファロ島のシーンでは、原住民が多数出て来るけれども…もちろん演者は(黒塗りの)日本人。
こういう原住民描写って今ではなかなか難しそうだが、これも時代を感じるところですな。
しかし特撮映画で本物のタコを撮って「大ダコ」ってのはアイデアというかチャレンジングというか。
実際にはスケジュールも押した際の苦肉の策という話もあるようだけど、これはこれで独特な生々しさが出ているので悪くない。
カラーになったせいもあるのかもしれないけど、特撮シーンではどうにもスケール感が出ずにミニチュアに見えてしまう場面が多々ある気もするが、目が肥えてしまったのかなあ…?
そこは脳内補正をしないといけないか。
兎にも角にも世紀の怪獣対決は、キングコングとゴジラの両者が海中に没して引き分け。
そりゃキングコングを殺すわけにはいかないから、そうなるよね。
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