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ゴジラシリーズの第11作。
前作から2年ぶりの新作は、公害という問題を前面に押し出したかなりメッセージ性の強い作品になっている。
オープニングで流れる主題歌のあまりにストレートな表現に度肝を抜かれてしまうけれど、それだけ生活を脅かす公害問題が深刻な時代だったという事だろう。
そういう意味で、元々は核兵器や戦争のメタファーだったゴジラ映画が、公害という人間にとっての新たな問題、ひいては人間自身が生み出す問題をテーマに取り込んでいったという事自体は自然な流れにも思える。
しかし前述の主題歌の様にどこまでもストレートな表現は…、もはやメタファーというよりは直喩ですな。
冒頭の汚い海面にしても、ヘドラの飛行後にバタバタ倒れる人たちにしてもね。
煙突の煙を美味そうに吸うヘドラの描写はとてもショッキング。
個人的には演出としてあまりにも馬鹿正直で好きではない部分もあるのだけど、でもそのヒネリのなさが直接的に「公害をこのままにしてはいけない」と感じさせるのだから、それはそれで良かったのかもしれない。
少なくとも、いくつか存在する子供が観てトラウマにもなりかねない描写は、「公害=悪」という潜在的なイメージを擦り込むにはとても効果的だとは思う。
実際、自分自身も子供の頃にこの映画を観た時(TVだったけど)の怖さはよく憶えているからね。
ヘドラの造形は秀逸。
形態変化もバリエーションに富んでいて、ゴジラとの対決にメリハリをつけていると思う。
ヘドラは集合合体したヘドロ怪獣なので、物理攻撃があまり有効でないというところはいいのだけど、終盤に一度ゴジラがヘドラを乾燥させて倒した後に中から飛び出すあたりはちょっと唐突だった気も。
目玉二つを潰して倒したかのような意味深な演出はなんだったのか。
賛否両論の空飛ぶゴジラも、個人的には蛇足かなあと感じる。
巨大電極板が放射熱線に反応して発動する仕組みが分からんけど、まあそれは言うまい。
それよりも電源の再確保が間に合わなかったり、ヒューズを飛ばしたりする自衛隊の体たらくが気になるw
そんな自衛隊をしり目に、まるで人間側の作戦を理解しているかのごときゴジラの行動は、中期昭和ゴジラのヒーロー的な立ち位置をハッキリと感じさせる。
今回はゴジラが倒してくれたけれども、人間が公害問題を顧みないのであれば「そして もう一ぴき?」現れるかもしれない。
作り手の主張は明確だ。
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