シネつう!
JAPAN STYLE !!

ゴジラvsメカゴジラ
1993年制作

満足度:

平成ゴジラシリーズ第4作。
ベーリング海のある島で発見された巨大な卵。
ゴジラとラドンと戦いを横目に島から持ち出された卵だったが、その卵は日本で孵化してベビーゴジラが誕生する。

結局のところ昭和ゴジラのミニラと同じく、ベビーゴジラの存在が観客にとってのゴジラを"怪獣”から親子の情がある“巨大生物”へと共感性をスライドさせていく。
ストーリー上のベビーにはゴジラやラドンを日本に引き寄せる役割しかないのだけど、そのせいで図らずも平成ゴジラになって再提示された“倒すべき怪獣”というステータスが再び揺らいでいくという皮肉。
人間側がメカゴジラを使って一時は滅多打ちにする様子を見せておいて、最後に「奴には何としてでも守らなければならないものがあったんだ」とか言ってまとめられても、「こいつら幕張を壊滅させておいて何言ってんだ」としか思えないかなあ(苦笑)

そんな具合に設定やストーリーについては色々モヤモヤする部分もあるのだけど、「メカゴジラの逆襲」以来18年ぶりのメカゴジラの登場であります。
と言っても宇宙人の兵器というわけではなく、前述の通り人間側の対ゴジラ兵器として開発された代物。
23世紀のメカキングギドラの技術を流用したということで、スーパーXやX2以上のオーバーテクノロージーがてんこ盛りです。
造形的には割と丸みの多いシルエットだけど、個人的にはいかにも武骨だった昭和メカゴジラのデザインの方が好きだったかなあ。
発進シークエンスや合体機構の存在など、ヒーローものやアニメでよく見た巨大ロボットモノの要素が色々あって、もはや怪獣モノなのか巨大ロボットモノなのかの曖昧さもあるものの、少なくとも伊福部昭の劇判のおかげで同様な巨大ロボットの描写の中でも特異な存在感を発揮していると思う。
ただ子供の時は思わなかったが、今観ると腹部からのプラズマ砲は「ゲッタービームかよ!」とか、ガルーダとの合体は「ジェットスクランダーだな!」とか、余計な用語が脳裏をよぎりはするけどねw

主演は高嶋政宏で、“行動力のあるバカ”という雰囲気の役柄が若干イラつかせるが…自分の欲望に忠実なだけか。
でもまあ話を動かす分には良いポジションではある。
高嶋一家としては「vsビオランテ」に出た弟の政伸と合わせて3人目のゴジラ映画出演というわけですな。
本作では高島忠夫も特別出演で出てきたけど、顔を合わせた際の「なんだか頼りなさそうだねえ」というセリフは笑うところなんだろう。
そういえば前作の小美人の2人が人間役で出てきてたけど、「いつの間にデカくなったの?」と一瞬…思わないか。

中尾彬演じるGフォースの麻生司令官はとにかくゴジラ打倒に執念を燃やす司令官で貫禄十分。
作中の立ち位置的には“冷酷な指令を出す大人”という感じだけど、その職務に忠実な姿を見ると、感情に振り回されている他の主要メンバに比べたらこっちの方がよっぽど感情移入できるかな…。


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