シネつう!
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メイドインアビス
深き魂の黎明
2020年制作

満足度:

つくしあきひとの同名漫画を原作にしたTVアニメの劇場版。
深界五層に達したリコ・レグ・ナナチの3人は、ナナチの因縁の相手である白笛のボンドルドと邂逅する。

原作は未読だけどTVアニメの方は1期を観てからの鑑賞です。
ストーリーは映画として独立した話ではなく、TVアニメの1期からの直接の続きとして始まる形で、特に1期後半に登場したナナチの因縁の決着が描かれるのでその復習は必須かも。

この「メイドインアビス」はやや丸っこいキャラデザが特徴ではあるけれど、その可愛らしい感じとは裏腹にかなりハードな世界観が描かれていて、ある意味でそのギャップが魅力ではある。
1期後半で描かれたナナチのバックグラウンドの話は特に容赦のない心がえぐられるような話でキツかった記憶はあるが、その要因となった白笛のボンドルドが今回の対峙相手となればもちろんその容赦の無さも地続きなわけで…。
ボンドルドの娘であるプルシュカの“カートリッジ”になるって展開はもう…ヤバいね。

この世界観でキーワードとなる“アビスの呪い”。
潜った後に上昇するとその人物にかかる「上昇負荷」という設定、その対処の果てにあるものがこれかよ…という絶望感も一緒になってやってくるので、こんなものリコでなくても凹みますわ。
結局1期でボンドルドがナナチにやっていた実験は「呪いの肩代わり」の検証であって、そして結果としてこのカートリッジを生み出したというわけで…、まあ完全にマッドサイエンティストの所業ですね。
でもそれもボンドルドにとっては「アビスの謎を解明するため」には必要なことであって、(自身も分も含めて)命に対する執着がない人物であればあの様にもなるのはなんか納得もできるというか…。
これが本当の確信犯ってやつなんだろうし、度し難いが、ある意味で信念にブレがないところに魅力を感じるキャラクターではありました。

もともとTVアニメ版の時点からアニメーションのクオリティは高い作品だったけれど、この劇場版でもそのレベルの高さは健在。
アクションシーンも流石は劇場版という感じで、総じて迫力があったので満足。
何より、間延びもダイジェスト感もないちょうどいい塩梅のテンポで話が進むところが良かったかな。

それにしても、ほんと容赦がない物語だよねえ。
でも残酷な世界観と主人公たちの優しさを表裏一体にした物語のさじ加減は、実に巧妙に観る者の心をえぐってきて目を離させないのです。

そして話は深界六層へ。
続きのTV版2期が楽しみですね。

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