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劇場版「名探偵コナン」の第20作。
警察庁から機密データを盗み出した女が公安警察やFBIとのカーチェイスの末に姿を消す。
逃走の際に記憶喪失となってしまった彼女は偶然コナンたちと出会うことになるが、その一方で、彼女の盗み出したデータを回収するため黒の組織が動き出していた。
これはもう完全にスパイアクション映画ですな。
と言っても付け焼刃の「それっぽいもの」ではなく、かなり本格的なスパイアクションものという印象。
諜報員リストというマクガフィンの使い方もベタ中のベタではあるけれど、それくらい王道である部分が良い方向に作用していると思う。
サスペンス的な展開とアクション場面のバランスも絶妙だったし、ゲストキャラが話の背骨としてしっかり作用していたのが実によかった。
記憶をなくした黒の組織の女・キュラソーが、偶然にもコナンたちと行動を共にするというのはちと出来すぎだとは思うけれど…、まあそのへんはご愛敬か。
本作では序盤に少年探偵団が状況を引っ掻き回す感じがいつにも増してうざったいのだが(苦笑)、終盤に記憶の蘇ったキュラソーが子供たちを庇おうと行動する姿を観てしまうと、序盤の交流場面の印象もガラッと変わってしまう。
劇場版での(特に黒の組織側の)ゲストキャラは大体死んでしまうのだろうと予想は着くのだけど、ここまでビターエンドな話になるとはね。
焼け焦げたイルカの人形を見たコナンが、「記憶じゃない、思い出だよ」と言うエンドクレジット前のセリフが渋い。
黒の組織が絡む話なだけあって全体的に緊張感が漂っているが、キュラソーの記憶がいつ戻るのかということがそのあたりの鍵になっている感じかな。
戻ったとして再び敵対するかもしれないという部分が緊張感に繋がるし、そのあたりを灰原の焦りも使いつつ観客にもうまく伝えていると思う。
だからこそ戻った後の彼女の行動がある意味でどんでん返し的な印象も与えるのだけれど、その辺の持って行き方は上手いと思った。
さて一方で本作が劇場版初登場の安室透。
「黒の組織に潜入している公安の人間だ」という最低限の情報だけがオープニングで説明されるけど、まあTVシリーズなどを観ている人には説明不要なんでしょうな。
TV版を観ていない俺は、彼の活躍はこの映画で初見なんだけど…なかなかハイスペックで面白いキャラだった。
安室と赤井がガンダムネタなのは一目瞭然だけど、シリアスな場面でもネタ台詞を言わせたりなんかして…、スタッフ遊んでんなあ。
序盤のカーチェイスもすさまじかったけど、あれは「今回はアクション映画ですよ」という狼煙みたいなもんだったのかな。
終盤の観覧車崩壊の一大バトルは、オスプレイの襲撃とそれに対抗する安室・赤井・コナンの協力という展開が実に熱い!
「車軸が破壊されたら大変なことになる!」とコナンが言った矢先に破壊されて、本当に大変なことになったのは逆に笑ってしまったけど、いやあここまで派手にやってくれると清々しいわw
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