シネつう!
JAPAN STYLE !!

マルサの女
1987年制作

満足度:

主人公・板倉は税務署の女調査官。実績が認められて国税局の査察官(マルサ)に抜擢されるが、そこで税務署時代に対峙していたラブホテルのオーナー・権藤と、再び相まみえることになる。

国税庁査察部というなかなか活劇にしにくい世界を、見事にエンターテイメント作品にしてしまった伊丹十三監督は、やはりそのセンスがただ者ではなかった証左でしょう。
主人公の調査官時代の話では身近なケースを示して“脱税”という世界観を示し、後半の国税局の話に至ってマルサvs権藤一派という組織同士の戦いに持っていく。
この組み立て方が良くできているね。
また、シビアな世界の話を扱っている割にはコミカルな描写も差し込まれて、この辺のネタも面白かったです。
張り込み中の桜金造とか、大地康雄のニックネームとかw

主人公を演じるのはもちろん宮本信子。
おかっぱ、寝癖にそばかす顔という風体だが、ヤクザにでもハッキリ口をきくその行動は観ていて格好良く、脱税という悪行を暴くある種のヒーローとして描かれる。
ただし、査察部に行く後半では組織全体が主人公になるし、津川雅彦演じる統括官・花村が良い味を出しているので、ちょっと話に埋もれ気味かも?
まあそれでもラストシーンで権藤と対峙するシーンも含めて、優しさに裏打ちされた印象は女主人公だからこその感じなんだろうけどね。

脱税者としてマルサと対峙する権藤を演じるのは山崎努。
あの手この手で裏金を操り、いやらしい悪役っぷりはさすが。
それでいてどこか憎めない部分もあるキャラクターが良い。
ただ特に前半でやたらとエロいシーンが出てきたりするのは、「そんなに必要か?」と思ったりする部分もあるけど…、この辺は伊丹作品らしさということなんでしょうかね。


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