シネつう!
JAPAN STYLE !!

Mr.Children
Split The Difference
2010年制作

満足度:

2010年3月から4月にかけて、ごく一部の人を対象にスタジオで行われたレコーディング・ライブパーティと、ライブハウスで行われたステージの模様を、企画・アレンジ・リハの段階から追った音楽ライブ・ドキュメンタリー作品。

作品の構成としては、ステージ演奏やPVといった映像の合間にライブDVDに特典でついてくるメイキングが挟まっているといった印象で、特に序盤はその傾向が強かった。
ただ、よくあるライブの収録映画なら如何にその会場に居るかのような熱気・雰囲気を切り取るかが主眼になると思うのだけど、そういうのとは少し違う。
最初は「特典映像で良いじゃないか」とすら思ったメイキング場面で、彼らのライブ用アレンジの検討の姿を通して見える“創作に対する姿勢や想い”が映画の背骨そのものであることに気付くんだよね。

映画の後半で映される「横断歩道を渡る人たち」のアレンジ検討の場面。
小林武史と桜井のやり取りや、提案に応えて鳴り響く鈴木のドラムなど、見る見るうちに音が形になっていく様は背筋がふるえる。
俺は基本的に検討段階のバージョンは、「アーティストであれば未完成状態のモノであるのだから表に出す必要はない」とも思っている人なんだけど、まさに完成品が生まれ行く瞬間を切り取ったその場面は感動モノだったと告白します。

そしてこの段階に来て、この映画を観ている俺は思い出した。
「そういえば映画の前半で、「ニシエヒガシエ」の入り方のアレンジを2004年のライブ版を聴きながら考えているいるカットがあったな…」
そう、その「ニシエヒガシエ」のブラスアレンジ版こそが、この映画のクライマックスだったのでした。
前半ではただのメイキングだと思っていた部分が、実は構成の骨格だったと気付いた瞬間。
なかなかニクい演出でありますw

劇中の楽曲は、実際のライブで演奏された一部の曲だけど、選曲がシブい。
「NOT FOUND」、「Surrender」、「Everything(It's you)」、「ファスナー」、「TIME AFTER TIME」(シンディ・ローパーのカバー)、「SUNRISE」、「虜」、「横断歩道を渡る人たち」、「Another Mind」、「終わりなき旅」、「ニシエヒガシエ」…エンドクレジットで「Forever」。
15年以上もMr.ChildrenのファンでいるともちろんMr.Childrenの曲ならどれも歌えますw
(「Forever」は新曲なのでさすがに聴くだけですが。) …が映画館なので実際に歌えないから、脳内で歌いまくり!
「NOT FOUND」や「ファスナー」は個人的にも色々と思い入れがあるので、また格別ですね。

ちなみに「ファスナー」はスガシカオが、「虜」はSalyuがゲストボーカルとして参加してますが、Salyuの声量は圧巻です!

この映画はナレーション一切無しで、映画の大半は白黒。
序盤のメイキング場面が長い等のテンポを考えると、やはりファン以外には敷居が高い気がするのも事実。
総じてライブ映画なんてのはファン向けだと言えばそうだけど、でも俺はファンとしての思い入れ込みでこの映画を観てしまうので、彼らの創作の一端を垣間見ることが出来る良い記録映画だと思いました。

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