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神仙や妖のような生命である“蟲”が存在していた時代、その蟲に対する知識で色々な人間への影響を解決していく“蟲師”ギンコの旅を描く同名漫画原作の実写作品。
監督は日本アニメの巨匠、大友克洋。
そもそも「蟲師」の魅力は、約100年前の日本にあって、まだ不可思議な存在を感じられるという時代の空気感や、その中で蟲に影響されつつも生きていく人々の儚さや喜びや哀しみを描いているところだった。
少なくとも俺はそう思って原作を読んだ一人なんだけども、この映画を観てそれをどれだけ感じたかというと、ちょっと何かが違う。
いわゆる日本の風景、深い森、雪の里、夏の棚田といった景色も、世界観を表すアイコンとしては良いのだけど、それ以上のものが伝わってこなかった。
何故か…。
ストーリーは原作の「柔らかい角」、「眇の魚」、「雨がくる虹がたつ」、「筆の海」を1つに纏めたものだけど、筋は原作からのアレンジが多数。
俺自身は原作至上主義者ではないけど、でもやはり筋を変えたことが功を奏しているとは思えない。
特に「柔らかい角」と「眇の魚」は…。
真火の母親はあれで良かったのか、原作にあった母親の温かさみたいなものが怖さに変わってる気がしたし、ぬいのその後をあのような姿にしてまで話を纏めようとしたことが良かったのか、個人的にはあまり観たいものではなかった。
逆に蟲の虹が現れるあたりは綺麗だったし、文字を箸でつかまえるあたりのビジュアルは良かったのだけども。
おそらく作り手とすれば原作もこの映画も伝えたいことは同じなのだろうけども、アプローチが違うので受け手への届き方が変わってしまってる気がする。
それが“実写版”として良しとするなら別だけど、個人的にはその違和感が気になって仕方がない。
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