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1969年から1972年にかけて、一人の若い雑誌記者と、革命を掲げた一人の若者の交流を描いたドラマ。
二人の若者の全共闘に対する想いが共感や対比として描かれていて、構造としてよくできているね。
革命家気取りの梅山(片桐)は、登場シーンのところからすでに形に憧れているだけの人物として描かれているのに、それでもどこかで彼を信じてしまう記者の沢田の姿に、当時の若者が抱いたのであろう同時代性の共感とか、全共闘世代の空気感を見てしまう。
演出としては、全体的には抑え気味なテンション。
その状態のまま登場人物の危うさによって進行する感じなので、妙な息苦しさを感じるけれど…これは「松ヶ根乱射事件」でも感じた、いかにも山下敦弘監督の雰囲気か。
でもそれが登場人物の息苦しさをうまい具合に表現させていると思ったかな。
会話劇のところになると意識して1カットで見せる部分も多く、その独特な間延びと緊張感のバランスが良いです。
ただ、そもそもとして全共闘に共感していない俺個人としては、空っぽの胡散臭さだけが目に付く梅山に敗北した学生運動全体を重ね合わせて、それに翻弄された若者たち=沢田というあの世代全体の縮図のように俯瞰して受け取ってしまう。
本当は、その時代に生きた若者に共感しながら観る青春映画なのだろうけども。
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