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漫画「のろい屋しまい」を原作に、現代の日本に飛ばされたヨヨの活躍と成長を描いた魔法ファンタジー作品。
原作漫画があってのこの劇場版オリジナルストーリーなので、本来は世界観を知るに漫画を読んでおいても良いのかもしれない。
けれど本作は展開が丁寧なので、その辺はシリーズ初見でも問題なかったかな。
俺自身も原作は未読だったけど、キャラ設定は本当に最小限とはいえ流れで分かってくるからね。
登場人物がキャラ立ちしていて世界観の楽しさが分かるのは良いですわ。
制作スタジオのufotableはどうしても最近の「劇場版 空の境界」や「Fate Zero」といったダーク系の作風や緻密な背景美術のイメージが先行するけど、どうしてこの様な明るいファンタジー作品も見事に作り上げた。
冒頭からして色彩豊かな森のイメージは楽しげだし、魔法の表現も明るい。
キャラクターも表情豊かで良いなあ。
ヨヨの明るさは観ていて気持ち良かった。
展開上、ネネの活躍シーンは少なめなので、タイトルロールの割に物足りない気もするけれど、でも二人のつながりは重要なわけだし良いんじゃないかな。
ヨヨと日本の少年・孝洋との交流はジュブナイルものとしては王道だけれど、この作品においてはそのストレートさは小気味良い。
ヨヨが現実世界での死を知らない(魔の国では寿命での前の死は肉体があれば生きかえる)という、孝洋との見識の違いからくる衝突や、使い魔の死に触れ、病院での赤ん坊を見ることで「この街を守る」という決意に目覚める展開は熱い。
ソーシャルの描き方は若干「サマーウォーズ」を想起させる部分もあったけど、“利己な願い”が呪いと変わらない…や、“他者の幸せを願う祈り”がヨヨに力を与えるなどは、さらりと教訓を入れ込んだ感じか。
最後まで悪意のあるキャラが出なかったことも含め、子供も大人も楽しめる良質のファンタジー映画だと思う。
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