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1945年8月14日〜15日にかけての政府機関での出来事、終戦の詔書の副書や終戦に関する陸軍内部の反発、所謂「宮城事件」を描いた作品。
史実を元に極めて力強く描かれていて、2時間半を超える上映時間があっという間に過ぎる。
キャストは正にオールスター。
阿南陸軍大臣を演じた三船敏郎が主役ではあるけど、その他の配役もビッグネームが列んでいます。
「若大将」シリーズで人気だった加山雄三も、端役ではあるけども実に印象に残る役だねえ。
基本的に話の前半はドキュメントタッチで進み、閣議での“どのように戦争を終えるか”の紛糾具合が描かれる。
第三者的に見れば陸軍がワガママを…とも思ってしまうのだけども、陸軍内部に燻る徹底抗戦派の主張を抑えるのに、どれだけ阿南大臣が腐心していたかは米内海軍大臣が詔書の一文について翻意したシーンからも受け取れる。
何にせよ血気盛んな抗戦派青年将校達は、劇中の後半でついにクーデターを実行するわけだけども、その論理はやはり冷静に見ればおかしい。
末期などは上官(大臣)の命令に背いた自分たちを棚の上に置いて「上官の命令は絶対だ!」などと口にするし、いや、そもそも彼らの描き方自体がちょいと狂気じみてるんだけどね。
特に黒澤年男演じる畑中少佐はずっと汗ダラダラだし、もう完全に取り憑かれたかの様。
まあ、誰が悪いと言うのではなく、それぞれに国を想うが為の行動なのだ。
決起隊も、内閣も、放送協会の人たちも、昭和天皇もそれぞれに。
それがこの長い一日で、特に思想教育された青年将校達はそれを信じて暴走しただけのことか。
でもそれが狂気と描かれるのなら、やはりそれはそう教育した時代の愚かさに他ならないのだと思う。
「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい」とは誰かの言葉だけども、こういう不幸が二度と起こらない様に誓いたいものです。
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