5
三津田信三原作の同名小説の映画化作品。
ある怪死事件の取材に関わったTV局のADだったが…。
いわゆるJホラーのフォーマット通りに運ぶストーリーには新鮮味を感じない。
それでも何かしらの怖さがあればいいのだけど、得体のしれない目がババーンという効果音と共に現れる繰り返しではね。
予兆の鈴の音も蛇足。
いきなり聞こえるのではなく、せめてじわじわ近づいてくるとかだけでも違ったのに。
原作は未読だけど、どうもミステリー調の怪談を語り手が紹介するという様な作品らしい。
それであれば、イメージとしては「残穢」の様な演出にした方がまだ理にかなっていたのだろうが、どうも“のぞきめ”という怪異の設定を借りている以外は別物の様なので、原作の事は気にしなくてもよさそう。
であれば一個の映画としてどうなのかという話だけれど…、正直言って微妙。
この手の話は身近にあるちょっとしたものが怪異に変わるからこそ、地続きの恐怖を観客に与えてくれる。
この映画の場合はそれが日常のどこにでもある“隙間”だ。
その設定自体は良いのだけど、冒頭、そこから覗き込んでくる目を見てガッカリした。
いかにもCG然とした見開かれた目と血管。
これでビビるのは中学生くらいまでなんじゃない?
「リング」の貞子の目を見習ってほしいが。
一方でそれを受ける人間側は、四六時中感じる視線によって発狂して事故死を迎えるということらしい。
その設定自体はいかにも妖怪的な感じで良いんじゃないかな。
(となると死体の喉の奥に泥が…という話は納得できないけど。)
しかしどうも主人公の行動は合点のいかないところが目についてよろしくない。
主人公もストーリーを進めるためにはまず呪われる必要はあるのかもしれないが、情報を得てからなぜ下調べもせずに現地に行くのか?
2人も怪死してる事件なのに、行った後に調べるなよなあ。
(「一日調べて分かった」というセリフには力が抜けた。)
そこの説得力が乏しいのでどうも話に乗れなかったし、それで巻き込まれても自業自得じゃないか、と。
というか「振り向くな」と言われたら振り向くなよ(苦笑)
終盤は色々と事情が解明されるけど、突然登場した謎のアイテムによって都合よく鎮められることが判明。
“のぞきめ”の正体である六部の少女は主人公に丁寧に事情を垣間見せてくれたかと思うと、次には地面に引きずり込んで結局のところ主人公も妖怪化(のぞきめ?)。
何故そうなるのか。
事情を何もかも説明しないと気が済まないのはこの手の邦画の悪いクセだとしても、妖怪化して「指輪をくれー」っていう流れになるのはよく分からないな。
まあもういいけれど。
助演の白石隼也は頑張っていたと思う、けど主演の板野友美の演技は正直言ってしんどかった。
中盤の最もショッキングなものを見たはずのシーンでは、まるでネコの鳴き声のような悲鳴だったので申し訳ないけど失笑してしまいました…。
もどる(ナ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01