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大企業のエリートサラリーマンだった主人公が、ある出来事を切っ掛けに会社を辞め、子供の頃の夢だった郷里の一畑電鉄運転士を目指した姿を描いたドラマ。
序盤の仕事一筋のギスギスした姿と、運転士を目指してから生き生きとしていく主人公の変わりようが少々極端な気もするけど、それでもその両面を上手く表現してしまう中井貴一の演技は安心感がある。
中年男が夢を追いかけて新しい人生に挑戦するというプロットは特段目新しいモノではないんだけど、この映画については島根県のローカル線・一畑電鉄という舞台がある種の魅力ですわ。
背景に広がる宍道湖や、田畑の中を走るローカル線の姿には、都会にはない懐かしい風景として感じ入るところがあります。
島根は俺の母方の実家なので、個人的に思い入れがあるからだと言えばそうかな。
劇中で走る電車は実際の一畑電鉄の車両ながらデハニについては映画用の脚色がある様子。
それでも田舎の電車という記号としては、その木製車両は都会の電車の対極にある暖かみでいいですね。
運転士と乗客の距離感も近いし、“子供運転事件”の顛末などはまさにハートフルな田舎の人情モノとして…。
ただ、このあたりは「田舎は良いなあ」の典型なので、ちょいとクサくて気になるところでもあったけども。
ドラマ的にはもう一つ突き抜けたモノがない変わりに、全体的にはベタながら落ち着いた良い話で満足はしました。
まあ、主人公の娘(本仮屋ユイカ)は、ちょっと直情径行がある感じのキャラの上に“家族主義”“おばあちゃん想い”というキャラクター先行型の設定に見えたので、あんまり共感ができなかったのは残念だったけどね。
ちなみに南海電鉄払い下げの車両も出てきますが、南海ユーザーの俺にとっては感慨深いですw
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