シネつう!
JAPAN STYLE !!

楽園追放
-Expelled from Paradise-
2014年制作

満足度:

人類のほとんどが肉体を捨て、電脳世界“ディーヴァ”で生活する未来世界。
フロンティアセッターと名乗るハッカーからハッキングを受けたディーヴァは、犯人捜索のため、捜査官アンジェラ・バルザックを地上へと派遣する。

肉体を捨て精神のみとなった人類が、“次の進化の段階に進んだ新人類”であり、衛星軌道上の「楽園」ディーヴァと、過酷で貧しい地上の“旧人類”という構図は、SF作品の設定としては割とありがちな感じ。
人工的な肉体・マテリアルボディに精神を移動させることのできるディーバの住人と、自我を獲得した人工知能・フロンティアセッターには、結局のところどんな差があるのだろうか。
そういったSF要素も散々語られてきたテーマではある。

が、この作品はそういう哲学的なテーマには振っていかない。
SF要素は話の車輪ではあるけれど本体ではなくエッセンス。
話の本体は主人公・アンジェラの世界に対する価値観の拡張と、須らく利己的であった者が最後には人工知能のために「楽園」を追放されても戦う、そういう精神的成長にあると思う。
劇中で「仁義」という一言に集約されたそれは実に小気味良いじゃないか。
脚本は虚淵玄だが、やはり王道の面白さを分かっているということなんだろうな。

前半で主人公の搭乗する機動外骨格スーツ・アーハンが一暴れする。
ここで性能をチラ見せしておいて…終盤での一大アクションに持っていくわけだが、主人公機だけ次世代機というのもまたニクいw
メカメカしいデザインもいいが、何といっても高機動なその動きが迫力満点。
追撃ミサイルの描写など、「完全に板野サーカスじゃん」と思ったらモーションアドバイザーに板野一郎がいた。

主人公・アンジェラと地上のオブザーバー・ディンゴの掛け合いも良い感じなので、ぜひこのコンビの更なる活躍を見たいところではあるが、話の続きを望むところではないな。
むしろオリジナル作品として、この一作品だけで「終わり」というところが良いんだよね。


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