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昭和15年、利敵行為を疑われた椎名は憲兵に捕えられ拷問を受けるが、その留置先で出会った元外務大臣で親英派の高倉と親しくなる。
プログラムピクチャー化されたシリーズ4作目。
本作は日本に潜入したとされる英国諜報機関の大物であるキャッツ・アイを探し出すという筋書きがメイン。
冒頭、利敵行為の嫌疑による拘束は高倉に近づくための草薙中佐の計画なわけだが、椎名も事情を知らされずに拷問を受けるとは、スパイとはツラい職業である。
まあそれはともかく、椎名は目的を理解してからの行動は早い。
映画自体の尺も90分弱だが、テンポよく近づき情報を得る…のかと思いきや、そうも上手く運ばないあたりが今作は色々駆け引きがあって面白いね。
高倉もなかなかに感が良く人を見ているので椎名の目的に気づいて遠ざけるし、解決までに2週間という期限付きなところも良い。
実際、劇中ではキャッツ・アイへの線が一度切れるのだが、偶然重慶側のスパイ・小柳に遭遇するのは…さすがにちょっと出来過ぎかな?w
まあそれでも最後の最後まで攻守が入れ替わる筋書きは良くできていると思う。
キャッツ・アイの正体は…素直に観ていたせいかなかなか気づかなかったな。
本作では椎名が高倉の娘や未亡人(野際陽子が若いね)に近づいて情報を得たりもしているし、いよいよもってスパイ映画らしくてよろしいw
陸軍のスパイの話なのでもちろん英国側が敵なわけだし、話も日本の軍機を守るために英国諜報員を逮捕して解決となるわけだけど、戦争における否定的な感覚というのはやはり戦後の映画なので感じるところ。
高倉が言う、「他民族を征服するなんてことはできんよ」とか「揚子江は中国のものだ」というところには、そういう戦後日本の感覚が表れていると思う。
ただ、それを親英派の人物が言うというのがいささか皮肉にも聞こえるところだが。
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