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週刊少年ジャンプで連載された同名漫画の実写化作品。
原作の「人誅編」をベースに、雪代縁の緋村剣心への復讐計画を描く。
これまでに3作が作られていずれもヒットした作品なので期待値は高かったけれど、本作は原作からの詰め込み感が今まで以上に強くて気になる部分も多くなってしまった。
本作の主題としては「剣心が背負っているもの」に対する“過去の因縁”からの挑戦なわけだけど、それって「るろうに剣心」の根幹である緋村剣心の過去があってこその話であって、そこを知っていないと始まらない部分でもある。
特に剣心とその妻・巴にあった過去の出来事は基礎知識として持っておかないといけない。
その根幹を本作ではダイジェストで済ませてしまっているんだよね。
というか過去の物語としては別作(次回作「最終章 The Beginning」)に分けてしまったわけだ。
確かに2時間強という映画の尺に納めるためという事情もわかるし、エピソードの取捨選択を見ると再構成の苦労も伝わってくる。
なので過去編をあえて別作にするという手段もありだとは思うけど、その“知っておくべき過去”の話を本作の前ではなく次回作として公開するのはやや乱暴な気はする。
正直に言って「お客さんは原作を読んでいるだろうからここは少し端折ってもわかりますよね?」と言われている様な気さえしてしまったし、作り手はだいぶ観客に甘えているなあという印象が強くなってしまったかな。
アクションシーンは本シリーズの目玉だけあって本作もかなりのクオリティ。
様々な場面で描かれるバトルはスピード感も規模感も満足の部類だけど、一方で敵味方関係なく多数(ザコ)vs一人というシチュエーションが何度も繰り返されるのでやや食傷気味に。
確かに一人の攻撃で多人数がふっとばされる描写は派手でいいんだけど、多数vs一人のバトルの場面はもう少し絞っても良い気はした。
まあ「アクション映画だ」という自覚のもとにファンサービスでやっているのが伝わってくるので、それ自体は良かったと思う。
ファンサービスと言えばサプライズで登場の瀬田宗次郎(神木隆之介)が特にその指向が強いか。
終盤のバトル前に登場した時は確かに驚いたけど、結局敵ではなく剣心との共闘だったし(相手は多数とはいえザコ戦だしなあ)、さらにはその後どうなったのかはわからないので完全にサプライズ要員でしかない。
他のいくつかのキャラクターについてもそうだけど、その後どうなったのかについてのフォローがあまりなかったのはドラマ的な面としてはちょっと寂しいところ。
結局のところ剣心と縁の話以外は枝葉で、その他の登場人物はアクションシーンのための要員として割り切ったのだろう。
でもそう割り切るくらいならもう少しキャラクターを整理しても良かったんじゃないかなという気はする。
原作には個々の脇役にもちゃんと背景があって、それぞれに魅力もあったわけで、「そこを端折るくらいなら無理して出してくれなくても良かったのに…」という気持ちかな。
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