シネつう!
JAPAN STYLE !!

PSYCHO-PASS サイコパス3
FIRST INSPECTOR
2023年制作

満足度:

人の精神状態から"犯罪係数"を測定し、管理するシビュラシステムを導入した未来社会を描いたアニメシリーズの劇場版。
日本近海で外国船舶が襲撃を受ける。
事件の調査に向かう厚生省公安局のメンバーだったが、事件の捜査権が何故か現場で外務省に移されてしまった。

ストーリーの時系列としては2019年に公開された「Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」とTVアニメ3期の間。
TVアニメ3期で主人公が慎導とイグナトフに変わっていたり、そもそも常守朱が拘留中だったり、それまでのシリーズとつながらない部分があったのだけど、本作がその空白を埋める物語になっているというわけですね。
それらは後付設定なのかな?と思いきや、パンフレットを読むとTV3期と同時に本作のプロットを作っていたとのことで完全な後付設定というわけではなさそう。
個人的にはやっぱり「PSYCHO-PASS」は1期のような常守と狡噛のコンビ感が良いよなあと思っているので、そういう意味では久々にその様子を見ることができて嬉しかったですよ。

内容的には、かつて外務省の海外での荒事を担当し、今では制御を離れて独断行動するようになった部隊"ピースブレイカー"の後始末にかかわる事件が軸になっている。
とは言えシビュラの思惑や3期に繋がるプロットも入り混じってなかなか情報量の多い物語展開も見せ、一筋縄ではいかない感じ。
そういう話の混み具合が「PSYCHO-PASS」らしいといえばそうでもあるし、劇場版ならではのアクションシーンも見応えがあって、きっちり盛り上げてくれたのは良かったかな。

一方で世界観の雰囲気などは「出島」の空気感や「北方列島」という設定も相まって、どうも「『攻殻機動隊』っぽい」印象も強く感じでしまった。
「憑依」と呼ばれるギミックも電脳ハックみたいなものだし、なんだかSF設定がどんどん「攻殻機動隊」のそれに近づいているような気もする。
まあそれはそれでもかまわないのだけど、本作の敵である砺波の立ち位置も「パトレイバー2」の柘植に重なるモノを感じたし、なんだか全然関係ないはずなのに頭の中で押井守の影がチラついてしまったというのが正直なところ(苦笑)

まあそれでも、シリーズの繋がりや常守と狡噛のバディとしての関係に「観たいものを観せてくれた」という満足感は得られましたね。


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