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「ドラえもん」の名エピソード「おばあちゃんのおもいで」「ぼくの生まれた日」を軸に、のび太の結婚式の騒動を描いた3DCGアニメーション作品。
アバンは前作の「結婚前夜」から始まり、本筋は「おばあちゃんのおもいで」からスタート。
この「おばあちゃんのおもいで」は…俺はあかんのです、俺はこの話を観ると涙腺が全力で水分を絞り出してくるのです。
もうこれは条件反射の類かもしれないけど、やっぱりこの映画で観ても涙腺が全力で仕事をしてきて…もうボロボロですよw
本作は導入部と締めが「おばあちゃんのおもいで」なので、やはりどうしても自分はそこで感情が揺さぶられて「いい映画を観たなあ」という気分になりました。
そもそも前作同様に名エピソード集みたいなもんなんだからそりゃいい話になるでしょという気もしなくはないけど、それでもそれらを一つの話をして構成をまとめるには苦労もあったとは思う。
そういう意味で本作の軸はオリジナル要素の強いのび太の結婚騒動にあるわけで、青年のび太の失踪をきっかけにした時間往来や精神の入れ替わりなどの構成はちゃんと「ドラえもん」らしい展開も表現されていて悪くなかった。
ただそういった本作オリジナルの要素で気になった部分があるのも事実で、例えば(中身が青年の)少年のび太がラーメン屋の原付で意図せず暴走するシーンや、最終的にのび太の記憶から終盤のおばあちゃんとのやり取りを忘れさせてしまった展開もちょっと引っかかるものがあった。
前者は…、その暴走原付が法律的に色々マズそうな方が気になって集中できず(苦笑)
3Dアクションの見せ場にしたかったというのは分からなくはないけど、正直3DCGを生かした表現ではホテルの入口で小さくなったドラえもんがロビーを歩くのび太のところまで飛んでいくワンカットの場面の方が、人物のキャラの表現も相まって見せ場としてはいい効果を出していたかな。
後者に関しては…、確かに少年のび太に結婚式の騒動以降の部分を忘れさせないと青年のび太の未来の行動との整合性が付かないので、ストーリー的には忘れさせるのが正しいのかもしれないけど。
でも「おばあちゃんのおもいで」に思い入れの強い自分としては、「のび太とおばあちゃんのやり取りの記憶を消さないで!」という気持ちの方が強く出てしまったなあ。
そんな具合に、ちょっと気になるところがないわけではなかったけど、でも前作「STAND BY ME」から地続きでの続編としてはよく出来ていたと思う。
「原作にある毒気が足りない」と言えばそういう面もあるかもしれないけど、「STAND BY ME」というシリーズが志向する「名エピソードの再構成」としてはクオリティは保たれているし、個人的には満足しています。
そうそう、エンドクレジットは前作の様なNG集ではなく、サイドエピソードを一枚絵でいくつか見せていく正攻法なスタイルだった。
前作のNG集は(3DCG作品として)「トイ・ストーリー」へのオマージュ的なつもりだったのだと理解しているけど、感動を売りにしていた作品でやったことでことさら不興を買ってしまった経緯もあったし、今回はやめたのかな?
本作のエンドクレジットの方が余韻があって良いのは確かだね。
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