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弐瓶勉原作のTVアニメの続編として公開された劇場映画第2作。
播種船シドニアと奇居子(ガウナ)の最後の戦いを描く。
原作は既読。
TV版はシーズン2でレム恒星系第九惑星を制圧するところまでが描かれていたけど、そこから6年間を空けてのこの映画の公開ということで、一時は「もうアニメ化はされず、この話の結末を映像で観られることはないのかなあ?」などと半ば諦めていた自分にとって、最後までやりきってくれた事自体に本当に感謝。
いかにも劇場版らしい迫力満点のロボットアクションが素晴らしいし、スピード感もさることながら、使いこなされたサラウンドの立体感も最高です!
話としては原作コミックの終盤3〜4巻分を2時間弱にまとめているので、かなり圧縮された感はあるけど要点をつまんで上手く再構成されているので違和感はないね。
むしろちょっとしたカットの挿入によって、よりキャラクターの心情が伝わりやすくなっている部分もあるか。
1期では谷風のライバルであり2期では黒幕の落合に体を乗っ取られていた岐神も、本作では本人の人格が戻って話の上で救済されているし、彼のヒーロー的なシドニア内でのバトルは演出も相まってかなり熱かったね。
一方でオミットされた部分も色々あったけど、人間関係の部分では谷風が小林に呼び出されて過去の事実を聞いた後に“数日姿を消していた”という、原作で小林との関係を匂わせていた部分が完全に無くなってました。
これは谷風とつむぎのラブストーリーという点を考えれば、観ている側が変にモヤモヤしなくなるので良いオミットだったかと思う。
小林の人間的な部分としては少し弱くなったかもしれないけど、どこに話をフォーカスするのかという判断としては正解だろう。
やはり谷風とつむぎはお互いに一途であるから良いのであって、だからこそ観ている側も応援したくなるのだと思うし。
身長15mもある異形の女の子を本気で好きだと言える谷風の気持ちは、本当の“愛”だと思う。
そういう様子を見ていると、ラストの展開は原作通りではあるものの…つむぎの人格がエナ星白へ転写されて人の姿になるのはちょっと複雑な気持ちもなくないかな。
それまでの15m差の恋を否定しているような気もするし、でもその考え方って第三者の押しつけ的な感情でもある気もするし…、そういう意味で複雑な気持ち。
でも谷風にとっては中身がつむぎであれば、死んだはずの彼女が再び現れれば例えどんな姿でも関係なかっただとは思う。
逆につむぎにとっては人の姿になりたかったという願いが叶ったわけで、考えうる限り2人にとって最高の大団円なわけだ。
これを祝福しない理由はないよな。
いい最終回だった。
もどる(サ行)
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