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湊かなえの同名小説の映画化。
林の中で発見された女性の惨殺死体。
ネットの噂とワイドショーによって犯人像が絞られていくが、その犯人と目された被害者の同僚は事件後に姿をくらましていた。
一昔前に「電車男」で2ちゃんねるをどう描くかという実験もあったとは言え、ネット、その中でもTwitterで拡散する噂というのは映像化に向かない題材だが…。
この作品ではさらに、これまた電話をしながらTwitterでつぶやいているという、ともすれば情報過多になる部分も上手く処理していたかな。
原作は未読だけど、綾野剛演じるワイドショーのディレクター・赤星は、原作では週刊誌の記者とのこと。
これも映像として見せ方を考える上では正しい改変か。
無責任に拡散する噂や憶測。
恣意的に編集された証言映像。
日常的に垂れ流しになっているワイドショーやSNSの無責任さを皮肉った作品とも取れるけど、人間のバイアス思考の恐ろしさを感じさせられるホラーだなとも感じるところ。
ワイドショーの司会者役の生瀬さんが良いなあ、あれは"誰"がモデルなのかね?w
まあ人によって証言が食い違うという構成自体は、それこそ黒澤明が60年以上前に「羅生門」で完成形を作っているので驚くような仕掛けではないけれど、ソーシャルネットという現代性を組み込んだ作品として面白いとは思った。
ただトリックとして一つだけ合点の行かないところがあるんだよね…。
犯人と目された城野美姫(井上真央)。
彼女が被害者の三木典子(菜々緒)を車に残していくところまでは良い。
しかしその後に真犯人がその車を運転して殺害現場まで移動するというのが…、車のキーをどう調達したのかという描写は…あったっけ?
トリックの根幹にかかわる部分だと思うのだけれど、俺が見落としたのかなあ?
もどる(サ行)
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