シネつう!
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女囚さそり 第41雑居房
1972年制作

満足度:

「女囚さそり」シリーズ第2弾。
法務省巡閲官の査察時に騒動を起こし懲罰刑となった女囚たち。
その移送中に“さそり”こと松島ナミと数名の女囚が脱走し、逃避行が始まる。

前作のヒットを受けて4カ月後に公開された続編。
急ごしらえだからなのかはわからないけれど内容としては単純に逃避行してるだけだし、そもそも所長のナミに対するやり方が事態を悪くさせるためのストーリー上の都合であることが透けて見えるので…、残念ながら薄っぺらく感じてしまう。
(ストッキング隊のレイプのくだりはひどい(苦笑))
リンチやレイプ、バスジャックでの暴れっぷりなどの個々のカットで微妙に長さを感じるし、まあ…凌辱による恨みの強調という意味もあるのかもしれないけど、どっちかというと尺稼ぎの意味の方が強いんじゃないかという印象を受ける時点で微妙かな。

そういう薄さを前衛的な表現で繋ぎながら、独特な作品の世界観を作り出している感じ。
逃亡した女囚を三味線の音に乗せて紹介したり、女囚を走らせながらたびたび挿入歌を流したり、レイプと滝を交互に見せて最後は赤い滝に…といった実験とか。
ラストで死んだ所長の義眼に映る女囚たちの高笑いのカットは良かった。
良い意味でそれが作風として成立はしているけど、その前衛的な部分が前作に輪をかけてとんがってきているのでちょっと面食らう場面はあるねえ。
まだ前作にはあった意趣返しによる映画的な痛快さよりも、情念を強調した前衛表現に舵を切ることを選んだのだろうけど、個人的には「そっちに行っちゃたのかー」という感じではある。

主演は前作から引き続いて梶芽衣子。
眼力とオーラは変わりなく力強い。
もともと寡黙なキャラだったけど、本作では「私を売ったね」と「死んでるよ」の二言しか喋らないという徹底ぶりには参ったw
特に「死んでるよ」は色んな感情が混じる台詞でいいですな。

しかし本作は梶芽衣子以上に印象に残る女優が…。
もう一人の主役、子殺しの大場ひでを演じた白石加代子ですね。
意図的だろうけど、ずっとオーバーアクト気味で実に強烈だった。

薄い展開でも強烈な何かがあれば印象には残る、そんなことを実感した作品ではあります。


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