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「女囚さそり」シリーズ第3弾。
逃亡中に掲示の腕を切り落とし、さらに逃走を続ける“さそり”こと松島ナミ。
ある日、ナミは売春で生計を立てているユキと出会うが…。
前作から7カ月後に公開された続編。
前衛的な表現は前作より控えめになったものの、度々印象に残るカットを差し挟むセンスは健在。
冒頭でいきなり成田三樹夫の腕をドスでたたき切るとは…インパクトあるなあw
手配書のオーバーラップや、堕胎のシーンで対照的な2人の女性の様子をクロスカットして見せたりとか、下水道に落ちるマッチの火が増えていく映像とか、現実感よりもイメージ優先の表現に時々ハッとするものがあるよね。
まあ李礼仙演じる鮫島カツの衣装やメイクはちょっとやりすぎな(1作目の隈取に似たような)感じもするけど(苦笑)
一方でストーリーとしては行き当たりばったり感というか…ちょっと散漫な印象もあって、過酷な境遇にあるユキが本作のメインストーリーであることは間違いないのだけど、伏線になりそうな設定やキャラクターがそこにニアミスしただけで終わってしまったような感じなのがちょっと微妙。
なんというか、ユキの過酷さって結局解決されてないんだよね。
いや、必ずしもストーリー上で根本解決する必要もないのかもしれないけど、だからといって結果的に境遇の変化もほとんどないわけで。
メインストーリーだったからこそ、今後あの「馬鹿になった兄貴」とユキの暮らしがどうなるのかという部分が提示されていないというのは…、正直なんかモヤモヤする。
そもそも、本作でのナミの復讐殺人は無理やり堕胎されて殺された売春婦のためのものだし。
ラストで成田三樹夫演じる権藤刑事を絞殺させるように仕向けたのは警察に拷問されたユキのためのことも多少はあるかもしれないけど、その拷問を(察したにせよ)はっきりとは知らないはずのナミにとっては、どちらかというと自分が焼き殺されかけた方が復讐の根拠なんじゃないの?って感じてしまう。
鮫島もユキへの加害者なので、ナミのそれはユキのための復讐になるかもしれない部分はあるものの、実際に鮫島が半狂乱になるほど恐怖しているのはユキへの加害に対する報いへのものではなくて、単純に鮫島が行ったナミへの扱いよる仕返しに対しての恐怖なので…やっぱり何かズレている気が。
まあ、そんな具合に収束しそうで実は平行線というストーリーに気になる部分はあったのだけど、“復讐者・さそり”というアイコンを描くシリーズとしてはキャラやテーマの一貫性はあると思うので、これはこれであり…かなあ。
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