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戦後の広島で起きたヤクザの広島抗争を描いた実録ヤクザ映画のシリーズ第5弾。
前作で収束した広島抗争の後、山守組の武田(小林旭)は暴力団に対する世間からの批判をかわすため、広島ヤクザを結集した政治結社「天政会」を立ち上げる。
いわゆる「仁義なき戦い」の第二次広島抗争は前作までで語り終わってしまったので、本作はその後を描いたエピローグみたいなもんか。
脚本家もそれまでの笠原和夫から高田宏治へ交代しているけど、時代が下って当時現役の親分がいる時代の話に近づいてくると、話を組み立てる方も細かい部分で気を遣ったんだんとか何だとか。
苦労がしのばれますな。
さて、シリーズを通しての主人公である広能(菅原文太)は網走刑務所に収監されているので、本作は主に第三次広島抗争となる「天政会」の立ち上げと内部抗争が話の主軸。
色々と先を見越して行動する武田は、前作から引き続きインテリヤクザの鑑という感じでカッコイイね。
情勢を見ながら「天政会」理事長だった松村(北大路欣也)を跡目に指名するなども的確だし、終盤では引き際もちゃんと考えているし、もはや旧世代となった広能と語りながら松村を見送る場面は色々と感慨深い。
組織内勢力の駆け引きはこれまでのシリーズと同様に面白いけど、全面抗争にまで発展するわけでもなく、シリーズを通しての対立軸だった広能と山守(金子信雄)の間で決着がつくわけでもないので、若干消化不良のまま終わる…というのは前作と似たような感覚だった。
とはいえ新旧世代の交代劇という意味では、広能が目にしてきた戦後広島のヤクザ世界の変遷という部分の一区切りとしてまとまっているので、まあ話の幕引きとしては納得感はある。
それにしても槇原(田中邦衛)や江田(山城新伍)といった古参のヤクザが惨殺される様はちょっと複雑な心境だな。
憎まれ役のタヌキだった槇原の死はあっけないもんだ…、広能組の若衆に殺られたわけだからある意味で留飲の下がる場面のはずなんだけど、なんだかちょっと哀しかったな。
江田も憎めない調子のいいキャラだったから、生き残ってほしかったけれど。
その一方で松方弘樹や北大路欣也、伊吹吾郎は別のキャラで再登場。
前作までもそうだけど、このシリーズは同じ役者が別の役でシレっと何度も登場するからユニークだよね。
そうかと思えば大友組の大友勝利は2作目の千葉真一から宍戸錠に交代していて、ややこしいなあw
さすがに千葉真一のインパクトが強すぎたので、本作の大友勝利はちょっと誰が演じても部が悪い気がするけど、宍戸錠の迫力もなかなか悪くない。
宍戸錠と松方弘樹の料亭での対峙は名場面だと思う。
ところで大阪人としては…、大阪に挨拶回りで来た松村が襲撃される場面が気になって気になってw
そこに映る景色が南海電車の今池付近とテロップを出してるんだけど、普通に阪神電車が走っているんだよね。
いや気にしちゃダメなのはわかってるんだけどさ、でも「阪神電鉄高架工事」って看板も映ってるし(苦笑)
いやはや、おおらかな時代ですなあ。
(この襲撃シーンは許可なしのゲリラ撮影だったらしい。)
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