シネつう!
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劇場版 呪術廻戦 0
2021年制作

満足度:

芥見下々原作のTVアニメ「呪術廻戦」の劇場版。
「呪術廻戦」の前日譚として、乙骨憂太を主人公にした「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」の物語が描かれる。

原作は未読。
TVアニメ版(24話)は観たので原作で言うところの7巻くらいまでは知った上での鑑賞ですね。
実際には原作の「東京都立呪術高等専門学校」は「呪術廻戦」の前に描かれた話なので、この「0」を先に観ても物語的には問題ないのだろうけど、アニメ作品としては「呪術廻戦」が先に作られているのでやはりTV版→劇場版の順に観るべきか?
終盤の“百鬼夜行”でチラッと登場する京都の面々などは、TV版を先に観ていないと「何者?」ってなっちゃうだろうしね。
逆に敵である夏油がラストで死んだ(?)描写になっているのは、原作を読まずにTV版だけを観ているとやや混乱する。
むしろ作劇的な仕掛けとして、「0」で死んだはずの夏油が「呪術廻戦」の序盤から暗躍していることに驚きが用意されていた筈なんだけど、このへんはどういう順番で観るべきかが難しいというか…。
いや世に出た順番に、原作(「0」→「呪術廻戦」)を読んでからTVアニメ→劇場版を観ろって話ですよね。
すみませんw

主人公の乙骨憂太の成長や仲間との関係、そして彼の精神的な熱量の増加は話の流れに乗って観ている側としてもすんなり入り込めたのだけど、一方で憂太を演じるのが緒方恵美となるとどうしても脳裏で「エヴァンゲリオン」の碇シンジとダブってしまうというか(苦笑)
キャラクターとして、本人の意志とは関係なく事態の中心人物になっちゃってる境遇なんかにも共通点を感じてしまう。
キャスティングは狙ってやってるよな…?w(パンフによると制作側からの指名だったそうで。)
でも逆説的に言えば、シンジっぽいイメージがあるが故にキャラクターの中にある芯の部分を無意識に感じさせてしまうところがあるような気もして、まあ実際ハマっていたことは間違いない。

TV版では呪術に関する設定や世界観の説明は(テンポは悪くないにせよ)割と説明ゼリフとして多かった気もするのだけど、この劇場版では割とサラリと進行している印象であまりくどさは感じなかった。
そういう面でのテンポも良かったところか。
物語の進行としては、主人公が覚醒しラスボスと対決するという少年マンガ”の必然性において、“夏油の目的”というもう一つの話の背骨と“ラストバトルに教師陣が介入してこない”状況を作るために用意した“百鬼夜行というブラフ”が話の流れに淀みなく組み込まれているところが個人的に観ていて気持ちよかったな。
そういう意味で夏油というキャラクターはとてもいい“悪役”だった。
もともとTV版のときからハイクオリティだったアクションシーンは、この劇場版でも文句ない大迫力で描かれているし、話のまとまり方も、派手さも熱さも大満足の「少年マンガ」だったね。


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