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6年間を過ごした子供が、取り違えた他人の子供だった…。
福山雅治演じる父親と、その家族の姿を描いた人間ドラマ。
血のつながりとは家族の絆で最も強いものなんだろうか。
などと考えながら見ることになる作品だけど、割と序盤で義母役の樹木希林が言う「戦前なんてね、里親とか養子とか普通にあったわよ。生みの親より育ての親って言うじゃない。」の台詞にもあるように、ある程度早い段階で話のゴールが見える気がする。
要は主人公がそこに至る過程…、本物の父性を手に入れる物語であって、やはりそこで描かれる絆の根幹は積み重ねてきた時間だったのかなと思う。
作品のテンポはじっくり家族の関係性を描いているのでゆったり目に感じるけど、多くを台詞で語らずとも、画や間で分かるその演出はさすが是枝監督といった感じ。
主人公の父親とおそらく義理の母との関係性は、ホントに見ていれば分かるけど、セリフではほぼ語らない。
対照的な家族を築いている野々宮家と斎木家の対比にしても、父親としての福山雅治とリリー・フランキーのポジションの違いって的確だよなあ。
家族としてどちらの在り方が良いとか悪いというわけではないけど、「子供の幸せを考えれば」という台詞とは裏腹に、違う環境に連れて行くには子供が大きくなり過ぎたろう、と歯がゆい感じがずっと続く。
取り違えの真相はちょっと驚いた。
とばっちりじゃんよ…w
"誠意"を付き返しに行った際、犯人である看護師をその連れ子が守ろうとする姿に主人公が感じ入るところには、多少のご都合な感じを受けなくもなかったけれど、でも嫌いではない。
物語は"そして父になった"場面でフェードアウトするように終わる。
この家族たちにはまだまだ先があるだろうけれど、きっと幸せになってくれるよねと、ほのかな希望を感じさせる引きでよかったな。
もどる(サ行)
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