7
羽海野チカの同名漫画を原作とした実写版。
孤独な高校生プロ棋士の主人公が挑む将棋の世界と、周囲の人物たちとの関係を描いた人間ドラマの前編。
原作漫画は既読。
映画の公開時点でも連載は続いているので、後編の方はオリジナルの結末になっていくのかもしれないけど、この前編の内容はストーリー展開こそ速いもの原作のエピソードを上手く掻い摘んで纏めていたように思う。
(それでも2時間20分近い長さだが。)
単行本で言うと1〜6巻くらいまでの内容かな。
妙なオリジナル要素を入れることもなく原作の雰囲気を守っている部分は好感を持てるし、主人公の桐山を中心に広がる多くの人間関係をうまく捌いているところには感心した。
シリアスとギャグの境目は原作よりマイルドな感じ。
まあこれは実写ではデフォルメできないという事も大きいんだろうけど。
逆にタイトル戦はやたらと仰々しい対局場所だったりして、映画的に画面を盛っているのはちょっと気にはなったけれど…まあ細事か。
演出面では、個人的には実写映画で内面の説明にモノローグを多用する見せ方は好きではないんだけど、この映画に限ってはそのモノローグが原作の雰囲気を再現するために効果を発揮しているかと思う。
前編の主人公と養父一家との関係性がドラマの主軸。
島田八段とのエピソードは原作でも好きなところなんだけど、島田さんの背負っているものの話については匂わせる程度だったのは残念。
まあこれをまともにやると尺に収まらないだろうし、主人公のドラマから少しブレるから仕方がないか…。
それでも、どの棋士もちゃんと何かを背負っているという原作の魅力の部分は感じられはしたかな。
登場人物を演じる役者はどれも(見た目という以上に)イメージ通りでよくできていたと思う。
主人公の桐山零を演じる神木隆之介はさすがだが、島田八段の佐々木蔵之介はマジで島田さんだったわ、すげえw
川本三姉妹やスミスもなかなかよかったなあ。
(二海堂を演じた染谷将太の特殊メイクには唖然としたが。)
そうそう主人公の名前について、零だから「ゼロのくせに!」と姉の香子に詰られる場面があるけど、これは主人公の名前の字を知ってないと分かりにくいかも。
もどる(サ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01