シネつう!
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実録・連合赤軍
あさま山荘への道程
2007年制作

満足度:

若松孝二監督が自信の集大成と位置づけて私財を投げ打って制作した、連合赤軍誕生から“あさま山荘事件”までの実録映画。

安保闘争や赤軍による武力闘争は、俺の生まれる前の時代の話であって映像や文献でしか知らないし、俺には彼らの信じる“革命”や武力闘争という点は理解できない。
ただ、世の中を良くしたいという彼らの当初の思いは間違いだとは思わないんだけどね。

やはり連合赤軍に至っては、目的のための手段ではなく、手段のために目的を掲げるような下らない人物が頭を張っていたのが、間違いへの第一歩になってしまったんだろうとこの映画を見て思った。
若者特有の熱情が暴走した結果、もはや“後戻りという自己否定”を行う勇気(そんな発想)すらなかったのだろうが。

12人もの仲間をリンチで殺すという異常事態すら、「こんなのは変だ」認めることの出来ない集団。
声を上げた者はことごとく粛正されるわけで、その恐怖が上意の否定を否定させる状態。
だからこそ、あさま山荘に立て籠もったクライマックスで「(死んでいった者達のためにも)落とし前をつけよう。」という台詞に対して、彼らの一人が叫ぶ「今頃何を言ってるんだ!俺たちには勇気がなかったんだ!」という台詞が刺さる。

当初の理想は崇高なものだったはずなのに、何が故にこんな間違ったことになってしまったのだろうか。
色々と考えさせられます。

リンチで殺害される遠山美枝子を演じる坂井真紀はなかなかの熱演。
自身の顔を殴らされ、醜く変形した顔を見て号泣するくだりは背筋が寒くなった…。
女の(精神的)醜さの固まりのような永田洋子にはムカムカし通しだが、演じた並木愛枝の巧さがあってのことだろう。

自分の別荘をあさま山荘に見立てて、破壊しながら撮影までしてしまった若松監督の執念は全編を通してひしひしと伝わってきました。
だからなのか190分もある作品なのに、全く長さを感じなかったね。
低予算映画だったけど、監督が全力で思いをこめた作品というのは、やはり観ている側の心に響くもんですわ。

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