7
ジャパニーズ・ホラーを代表する二人(?)の幽霊、貞子と伽椰子の夢の対決を描いたクロスオーバー作品。
ジャンル映画の代表キャラクターとは言っても権利会社は別々なわけだから、怪獣映画で言えばゴジラとガメラが対決するようなもんだよね。
なのでエイプリル・フールのネタでしかないものかと思っていたら、本当に作品にして公開してしまうんだから…角川もNBCユニバーサルもシャレの分かる会社ですわw
いわゆるクロスオーバーの“vs”ものは昔から色々存在するけど、本作もその系統に入るお祭り映画。
本当に戦うものから共闘するものまで色々あるけど、本作では強力な呪いで対象を確実に仕留める2人が闘うというのだから期待もしてしまう。
しかし実際に観てみると、お祭り映画というにしても存外に地に足着いた、ちゃんと真摯に「リング」と「呪怨」を取り込んだ構成になっていて、作り手は敬意を払っているなあと感じた次第。
物語進行の大半は基本的に貞子サイドだけど、これは呪いの性質上、受けてから数日間(本作では2日)の猶予がある貞子の呪いに対して、家に入れば問答無用の即効性を発揮する伽椰子の呪いはバランスブレイカーになりかねないからかね。
ただ前述のように貞子の呪いの猶予期間が短くなっていたり、ビデオの引き継ぎが無効(?)になってたり、伽椰子もラスト以外は家の外で襲ってこなかったりと設定に若干のパラレル感はあるけれど、まあそこは組み合わせ上の微調整の範囲か。
ここまで有名なキャラクターともなると作品のお約束も多いわけで、そうなると必然的に観客には「次に何が起こる」かが大体予想できてしまう。
貞子側は期限が来るまでは大丈夫なことが分かってるし(邪魔をしたらダメなようだが)、呪いの家ではイキナリ猫が飛び出したり風呂場や押し入れがヤバいことも知っているので、これは逆に怖さを減退させてしまっているとは思う。
個人的にはホラー映画として全く怖くなかった。
でもお祭り映画として、オリジナルのお約束を外さない姿勢は良かったし、そこが真摯でいいと思う部分。
一方で、都市伝説化した“呪いのビデオ”に関心を示す教授(甲本雅裕)が解決の鍵を掴んでいくことになるのかと思いきや、突然の退場で「犬死に」呼ばわりされたのには笑ってしまったなあ。
(退場の際に一瞬顔が歪んで見えるけど、あれは「リング」の呪いだからだよね。)
伽椰子が本格的に登場するのは映画のほとんど終盤だけど、やはり夢の対決は心の中で「きた!」と叫んでしまいますよw
貞子にとって俊雄がほとんど“かませ犬”状態なのは基本的にタイトルを実現させるための展開だろうけれど、いやあ実際に伽椰子とガチで勝負できるんだから先輩の貞子はやはり強いわ。
ラストは“vs”ものの宿命か、ハッキリとした決着はつけないままのエンディング。
ただ、“人間側が負けた”ということだけは分かる。
どうせどっちが勝ってもカドが立つから合体させてしまえというのは少々乱暴だが、あれがフュージョンするとは人間側にとっては悪夢ですな。
確かに、もはや勝てる気はしないw
良いお祭り映画だった。
もどる(サ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01