シネつう!
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最後の忠臣蔵
2010年制作

満足度:

池宮彰一郎の同名小説を原作にした時代劇。
吉良邸討ち入りから16年後、四十七士の遺族を訪ね歩く旅をしていた義士唯一の生き残りである寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。
ある日、彼は討ち入り前夜に姿を消したかつての親友である瀬尾孫左衛門(役所広司)の姿を見つける。

何故瀬尾は討ち入りの前夜に逃亡したのか?が話の中心になるかと思ったら、そうではなく、瀬尾と彼が養う大石内蔵助の隠し子・可音との関係が中心に描かれていく。
義理の親子的な関係や、可音の瀬尾に対する感情など、これでもかと言うほどじっくりしっかり見せるのは良いんだけど、逆にその時間をかけた見せ方は退屈との表裏一体。
じっくり過ぎやしないか?

ただ終盤の輿入れの場面では、そこまでに積み重ねたシーンがようやく生きてきたかのように思え、人間ドラマとしてなるほどなと思った部分もあります。
全体的に瀬尾と可音のドラマに注力しすぎなので、本来進行役であるべき寺坂をもう少し深くしてくれても良かったと思うけれど、それは映画の尺の問題もあるだろうか。

場面場面では人形浄瑠璃の曾根崎心中が挿入されて、色々とストーリー上の暗示的なものを感じさせる様になっている
だけど、個人的には3度目くらいからくどく思えてきたかな。
ストーリー上、浄瑠璃を見せるシーンがあるのだからそこだけでも十分で、ことある事に見せられ聞かされるのは、主張としては分かるけど若干しつこかった。
まあ何と心中するかにおいて、忠義と心中した瀬尾の武士としての生き様には感じ入るところがあるし、観終わればタイトルも「ああ、上手いな」と思える話ではあります。


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