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押切蓮介の同名漫画を原作にしたホラー映画。
郊外の一軒家に引っ越してきた一家。
仲の良い一家だったが、次第にひとりまたひとりと異変が起こり始める。
原作は未読。
監督は「ノロイ」「貞子vs伽椰子」の白石晃士なので、気になって観てみた…くらいの感じだったけど、いい意味で予想を裏切る展開があって面白かった。
ホラー映画を観に来たのに、まさか「元気に生きよう」という気分になって劇場をあとにすることになるとはw
すべては根岸季衣演じる祖母の春枝の存在だなあ。
映画の後半はほぼすべて彼女が持って行ったといっても過言ではない。
冒頭で引きこもりの人物がその家族に危害を加えたような場面が描かれる。
そこから10年後、その家に別の一家が引っ越してきてからが本編。
いわゆる「家にとりついた悪霊・怨念」系のベタな設定ではある。
「この手の話は『呪怨』とかでさんざん観たなあ」と思いながら観ていたし、実際この映画の前半でひとりずつ家族が取り殺されていく様は、よく目にするJホラーのお約束な展開からも逸脱してはいない。
だからこそ、ボケていたはずの祖母が「目が覚めた」と言って大活躍しだす後半からが面白くてたまらなかった。
こんな手があるとは!
ホラー映画におけるバランスブレイカーだねえw
彼女が出ている場面はホラー映画なのに全く怖くなくなってしまうのだが、しかし逆に頼もしすぎて目が離せない。
いやあ、これは痛快であるw
サユリが怨霊と化した原因は胸糞な話なのでサユリにも同情してしまうが、こういう価値観の相転移(悪と思っていた者以外が真の悪)みたいな展開も好みではある。
上映時間108分の間にそのあたりの構造を上手く組み込んでいる感じかな。
それにしても、怨霊の不条理な力に恐怖しようと観にきたら、その実は生きる者の絶対的なパワーに圧倒される話だったのだから面白い。
直球と変化球のバランスが絶妙でしたね。
もどる(サ行)
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