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ベストセラーになった同名小説が原作のラブ・ストーリー。
公開当時は世の中が強迫的に「泣くべき話」の様な様相を呈してましたが、数年後に初めて観た人間にとっては邦画バブルのモニュメントのようなものでしか…。
という先入観を持ちつつ観たのだけれど、やはり残念ながらそれ以上のものではなかった。
多感な時期の少年が恋愛をし、しかも死別したとなればそれは悲劇として十分だけれど、それを描くためにわざわざ現代からの回想にした設定が表面的で入り込めない。
あまりに感傷的すぎて、むしろ回想場面の方がリアルなくらいに思えてくる。
現代の現実感の無さが致命的に話の足を引っ張っていて、特に主人公の当初の目的(婚約者捜し)と行動(思い出の場所めぐり)が矛盾していることに疑問を持ってしまう。
もちろん、現代と回想のオーバーラップというのは映画手法的にはありだし、場面によっては効果的ではあるけれど、それも全体の流れを不自然にさせてまですることではないでしょう。
回想場面の主人公二人はなかなか好演しているとは思いました。
まあ、展開があざといとはいえ、こういう映画であれば享受できる範囲のストーリーかとは思う。
でも現実(現代)とのリンクが、逆に筋としての完成度を低くしてしまっているという設定は、やはり難があります。
この映画が大ヒットしてしまったが故に、この後、邦画でやたらと病死の悲恋が乱造されてしまうことを考えると、違った意味で悲しくなってしまいますねえw
そうそう、回想シーンで主人公がラジオにウソの投稿をして彼女に怒られますが、「お前ら(この映画の制作者)がそれを言うな」と思ってしまいました。
もどる(サ行)
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