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大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメの4人の監督が、日本をテーマに制作した短編アニメ映画集。
映画祭で公開済みの「九十九」「火要鎮」に加え、「GAMBO」と「武器よさらば」を新作短編作品として加えた4話オムニバス形式。
1話目の「九十九」はタイトル通りまさに付喪神の事で、古いモノに神が宿る日本の精神性を題材にしたファンタジー。
CGはちょっと固めで「FREEDOM」の様に人間も少し無機質に感じる。
だけどテーマに対してテンポは良く進み話は小気味良いし、実はこの作品の中で最もグッドエンドの話だったりw
導入は和風「CUBE」にでもなるのかと思ったらそうでもなかったり、ゴツそうな男が手先が器用だったりと、ちょっとした意外性も良いかな。
2話目の「火要鎮」が大友克洋の監督作で、悲恋と江戸の火消を描いた話。
絵巻物風な画のまま、ワンカットで一気にプロローグを済ませてしまう導入部の見せ方に、すっかり魅了されてしまった。
このワンカット演出のあたりは「大砲の街」の進化型かなと思いきや、それに拘ることなく次には江戸の華・火事の描写に移っていく。
この静かな演出の後の、ダイナミックな火消の動きは実に見事。
延焼を防ぐ為に取り壊す段取りであるとか、細かい部分が生き生きと描かれているので実にリアルで興味深い。
そもそも書き込みがハンパなく、逃げる人々、走り回る火消、うねる業火の凄まじい事よ。
3話目の「GAMBO」は鬼と白い熊との戦いを少女の目線で描く。
時代設定的に時代劇風な趣だけど、SFな鬼の設定を匂わす程度に見せるところがニクらしいw
まあ間違いなくあの鬼は宇宙人だけど、女をさらう理由もちゃんと見せて結構えげつないですな。
熊との格闘は凄まじい動きで、血は飛び、人間は潰され…もはや怪獣映画のようだった。
それにしてもこの手書き風の絵が全て3DCGだとは…。
4話目は30年前の大友克洋の読み切りマンガを原作にした「武器よさらば」。
近未来の廃墟化した東京で、パワードスーツの男達と無人思考戦車との死闘…。
アクション一辺倒の話だけど市街戦がすげえ。
廃墟に残された武器を回収したり破壊するのが生業の男達と、一方で武装した人間のみを徹底的に殲滅する思考戦車。
どちらも平和のために第三者の武器を否定しているだけで悪意はないのに、結果的に殲滅戦となって大半が死ぬのが皮肉な話だなあ。
そう思うとタイトルもすげえ皮肉w(ヘミングウェイとは関係ないんだね)
劇中、無線交信で「こんばんは東京ローズです」「お前のネタは分かりにくいんだよ」というやり取りには笑ったw
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