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池井戸潤の同名小説の映画化作品。
ある日発生した運送トラックの脱輪事故によってタイヤが直撃した歩行者の女性が死亡する。
トラックの製造元であるホープ自動車は運送会社の整備不良だと結論付けるが、その運送会社社長の赤松はその結論に納得せず、世間からの批判の中で孤独な闘いに挑む。
大企業vs中小企業の社長。
本来敵うはずもない相手に対して挑む主人公の姿には、判官贔屓の日本人の気質がくすぐられるのか主人公を応援せずにはいられない。
大企業の論理に振り回される登場人物たちの姿に自分を重ねるところもあって感情移入もしやすいが、この物語はリコール隠しをしている企業側が明らかに悪であって、主人公側に正義があるところが対立軸として分かりやすくて良いね。
整備不良じゃなかった証拠として車検証を叩き付ける場面なんざ、実にスカッとするw
そこまでのどん底があってからのそれだから留飲も下がるわけだ。
2009年にWOWOWでドラマ版が放送された作品でもあるけど、そちらと比べると時間的には半分以下の120分なので、細かいエピソードは端折られている。
序盤の一度クビにした整備士の話とかはかなりスピーディーに展開するけれど、主人公が従業員を信じ、そして整備に問題が無かった事の大前提となる部分なので、そこはもう少し盛っても良かったかな?
他にも泥臭く足を使って調べたり資金繰りに悩んだりとストーリー的には盛りだくさんなんだけど、全体的には要約しつつも流れはよく纏まっていたし、駆け足な印象はあまりなかったので悪くなかった。
岸部一徳はホープ自動車の常務・狩野という一身にヘイトを集めるキャラを良い感じに演じてますなあ。
傲岸不遜な感じが実にイラつくけど、これはさすがw
主人公・赤松を演じる長瀬智也はちょっと格好良すぎな気はしなくもないが、二代目社長としての責任と信念に基づいて闘う姿勢に説得力のあるオーラがあって良かったな。
結局一度も赤松と狩野は顔を合わせることはなかったが、大企業という顔の見えない集合体との闘いの話としてはこれでいい。
その橋渡し的な存在として登場する沢田(ディーン・フジオカ)というキャラがもう一人の主人公かな。
赤松と沢田という価値観の違う二人が別々のところで大企業に挑んでいるわけだけど、企業の論理と正義感(自己保身)の狭間にいる沢田がストーリー上のバランサーとして機能していて面白い。
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