シネつう!
JAPAN STYLE !!

サマーウォーズ
2009年制作

満足度:

細田守監督の劇場オリジナルアニメーション作品。
夏休みに、信州にあるヒロインの大家族の家に行くことになった主人公。
ヒロインの言動に振り回され、その一族の多さに戸惑っていたが、そんな時、社会インフラと同義であるネット上の仮想世界OZでサイバーテロが発生する。

田舎の旧家とサイバーテロ、親戚というコミュニティとネットワーク上の仮想世界という、およそ結びつきにくい世界観を上手く話に取り入れて構築されている。
それでいて、人のつながりとは現実の結びつきだから良いとか悪いとかいうことではなく、仮想世界のつながりだから良いとか悪いということでもない話の持って行き方が、説教臭さを感じなくて良かった。
まあ、とっかかりの展開に多少強引さはあるものの、メインキャラだけで29人もいるのに、それぞれに個性を出して見事に捌いているオリジナル脚本はお見事と言いたい。
場面によっては主人公とヒロインの影が薄い部分もあるけど、テーマ的には一丸となる一族やネット上での協力といった人と人のつながりがメインだから、普通の人々が結束していく様の爽快さが重要なんだし、主人公が家族に埋もれていてもまあ良いかなとは思う。
一応主人公らしさとしては数学力という特殊技能があるし、話の切っ掛けと結末では中心にいるわけだし、この映画ではそれで十分かな。

それにしてもアニメもここまで空間と間で魅せられる作品を作る様になりましたか…。
OZ上のアバターデザインやひたすら動く画も良いとは思うんだけど、個人的には現実世界の描写に目を見張ったね。
特に庭から室内の食卓を少し低めの固定カメラで撮っている様な画。
引きで家族全員を入れた構図は、旧家という舞台美術も相まって、なんだか昔の日本映画の様な印象を受けました。

そうかと思えば逆にドタバタ的に笑わせてくれるところもあったり、その緩急が上手いですわ。

ヒロインの大ばあちゃんのキャラクターは実に魅力的。
言動やたたずまいから旧家と一族を束ねる力強さを感じるし、微笑みには優しさを、大事にとってある手紙やハガキからその人となりも透けて見える。
俺自身もその大ばあちゃんという人物にすっかり感銘を受けてしまいましたw
だからこそ、(ファンタジーになってるんだけど)ラストの笑顔なんて…実に良いよねえ。


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