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催眠術によって音楽を聴くと歌って踊らずにはいられない体質になったOLの静香。
次の出社までにこの催眠を解かねばならないしずかは、術をかけた張本人を探し出さないといけないが…。
ミュージカル映画の「なんでいきなり歌って踊りだすんだ」という身もふたもないツッコミに対応したコメディ映画だが、「だって催眠術にかかってるんだもん」という趣向が、本作をミュージカルにするための言い訳にしかなってないのはちょっと勿体ない気もする。
ミュージカル場面にしたって、仮にフレッド・アステアの映画を頂点とするならば五合目くらいの感じだし、申し訳ないけどそれっぽいものを纏っているくらいにしか思えなかったかな。
もちろんヘタだとは言わないんだけど、これを催眠中の心象風景だとした時に動きが完ぺきではない部分がちょっと気になるというか。
「普通の人が突然歌いだした!」というレベルであればありだろうけど、その感じが本作では演出の内なのかどうかはちょっと疑問なので。
ストーリーは日常を歌って踊って表現するものかと思いきや、意外にも催眠術師を追ったロードムービーだった。
催眠術師を探すのはともかく東日本〜北海道を股にかける意味があるのかはよく分からないが、なまじ行動範囲が広いせいで行き当たりばったり感は出ちゃってるかな。
借金取りや興信所の男たちは話を動かしてはいるけど、カスタムカーの連中に絡まれた先でのダンスバトルとか、流れ上はなんで入っているのかよく分かんない。
ストリートミュージシャンのくだりも何だか取って付けたような感じだし…。
というか主人公の静香は不思議なくらい最初に頼れる人間が周りにいなかったなあ、まあそれが道連れとなった千絵との出会いに繋がるわけではあるが。
という感じで、正直言うと話はあんまりノレませんでした。
でも流れてくる曲は有名なものばかりなので、それはそれで楽しめた部分はあるけど。
しかしなんか古い曲ばっかりというか…70年代の曲が多いなw
監督によると「古びない曲」というコンセプトがあったそうなので、そういう意味では納得感はあるか。
あとは本作の宝田明の存在ね。
“マーチン上田”改め“コーチン名古屋”なんていううさん臭い催眠術師の役だけど(w)、ミュージカル映画で往年のスターをこのようにフィーチャーしてくれたことは素直に嬉しい。
「舞妓 Haaaan!!!」における植木等を観た時の様な気持ちになったね。
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