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劇場版「ドラえもん」第12作。
“絵本入りこみぐつ”で絵本の世界に遊びに行ったのび太達。
しかし、翌日になってもしずかちゃんだけが現実世界に帰っていないことを知ったドラえもん一行は、休出のために行動を起こす。
シリーズで長らく続いた“世界(またはあるコミュニティ)の危機”系の話に比べると、しずかちゃんを救出しに行くだけなので少々話の規模が小さい。
そのせいか悪役もシリーズで最も弱い部類に入るかも?
まあそれは横に置いておけば、書物である「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」の世界にドラえもん達が入っていくというファンタジーであって、科学的SF要素だけじゃない方向に持っていこうとする藤子F先生の試行錯誤の結果だったのかもしれないね。
そういう文学世界に入っていくというプロット自体は面白いと思うんだけど、この作品に関してはしずかちゃんを閉じこめた絵本の世界が、現実のアラビアンナイトの時代と繋がっているという設定が苦しい。
いかにドラえもんが「『アラビアンナイト』には実在の人物が二人登場している!」「もしかしたら繋がっているかもしれない!」と強弁しても、すれた大人の感覚からすると納得(理解?)しにくいんだよなあ。
ストーリー上の実際には、絵本と現実世界は繋がっていてしずかちゃんも救出できたわけだから、“アラビアンナイトの絵本に関しては、本に入り込むと(実話という設定なので)現実の過去に行く”と解釈する方が正しいのかもしれないが…。
全体的には盛り上がりに欠ける話である気はするけど、それでも「ポケットのないドラえもんなんて、ただの中古ロボットじゃん」とか台詞でクスっと笑えたり、それなりに楽しんでいたのは事実だったりします。
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